- 作者: 太田紫織
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/12/01
- メディア: 文庫
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自殺未遂で記憶の一部を失った少女が、一緒に自殺した同級生と自分の自殺理由 について模索していくお話。志信の自殺理由が思ったよりもハードで驚いた。周囲には優しいムードメーカーで通っていた彼が裏で抱えていた不安を抱え込んだまま自殺に踏み切ってしまったのがやるせない。母親はとても良い人でしたが、だからこそ逆に心配させたくなかったのかな。紙飛行機の大会での一件は最低としかいえない、自殺するぐらいなら志信の墓前できちんと謝れよ!彼を支えるべき人間が彼を裏切り、それを隠蔽しようとしたのには大人の汚さをまじまじと感じてしまった。
最後に志信が遠子に託した言葉は素敵だけど、やっぱり一緒に生きて欲しかった。それを抜きにすればベストな形で終わってくれたかと。遠子とお母さんの本音のぶつかり合いも良かった。遠子はこの一件を通して逞しく成長したと思います。