リンドウにさよならを(★★★★☆)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

第18回えんため大賞優秀賞、必然の出会いが紡ぐ、学園青春ストーリー。 想いを寄せていた少女、襟仁遥人の代わりに死んでしまったらしい神田幸久。二年後、自由かつ退屈な日々を過ごす地縛霊として目覚めた彼は、クラスでいじめに遭う穂積美咲にだけ存在を気づかれ、友達になることに。一緒に過ごす内に美咲の愛らしさを知った幸久は、イメチェンを勧め彼女を孤独から解放しようと試みる。少しずつ変わり始める美咲の境遇。それはやがて、幸久が学校に留まる真実に結びついていく――。 必然の出会いが紡ぐ、学園青春ストーリー。
切なさが残りつつも爽やかな後味で締めくくられている物語でした。苛めを受けている少女・美咲がただひたすら受身だったのにもかかわらず幽霊になってしまった幸久と出会ったことによって自分を積極的に変えていき、立ち上がっていく姿は読み応えがあった。綾香をはじめとして美咲にちゃんと友達ができて良かったー。幸久を慕う弟分の守が癒しでした。
結末は分かりやすかったけど落ち着くべきところに落ち着いたかなと。遥人みたいに自分なりの正義を持っている人は、一つでも自分の行動に矛盾を感じてしまったらポッキリと心が折れてしまう危うい一面ももっているんだなと。幸久と遥人のやり取りが正に青春だっただけに最後のさよならは悲しくもあり、幸久がようやく一歩前へ進めたかと思うとホッとする気持ちにもなりました。幸久と美咲たちが進む道に幸あれ!