切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人(★★★★☆)

臓器が奇麗にくり抜かれた遺体が発見された。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出す!…というお話。
遺体の描写がグロテスクでそれだけで雰囲気に飲み込まれそうになった。臓器を提供する側と提供される側の苦しみも描かれていて、両者の言い分も納得できる。提供する側は大事な人間を亡くした事実は消えないし、提供された側はその人の分まで生きるという重りを背負わなくてはいけない。事故で亡くした息子の臓器を受け継いだ人間を観察している母親が切なくて、最後にほんの少し報われた描写があって一安心。せっかく臓器移植を乗り越えたのにあんな身勝手な理由で殺されてしまうなんて…、敬介が無事だったのがせめてもの救い。具志堅に関してはあまり同情できないな…。
犬養と古手川のコンビでまた小説を書いてほしいです。自分で蒔いた種とはいえ犬養さんと娘さんの仲が少しでも修復しますように。