後宮の検屍女官(★★★★★)

後宮の検屍女官 (角川文庫)

後宮の検屍女官 (角川文庫)

■あらすじ
後宮にうずまく疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ!「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。
皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。
花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。

■感想
普段はぐうたらな女官だけど、検屍官という仕事に誇りを持っていて才能を発揮していく桃花のギャップが格好良かった。そんな桃花の検屍官としての仕事っぷりに感化されて彼女に対する態度が少しずつ軟化していく延明の変化、彼自身の宦官になってしまったことへの葛藤も丁寧に描かれていてキャラに共感できました。
ミステリ部分は後宮が舞台ならではの結末で、色々なものを背負って後宮にいなくていけない女性の不憫さが暴走してしまった結果だなと。また二人でコンビを組んでほしものです、続きをぜひ!