薬屋のひとりごと 11(★★★★★)

薬屋のひとりごと 11 (ヒーロー文庫)

■あらすじ
戌西州を襲った大蝗害。過去の蝗害を知る者は少なく、人々は混乱する。西都や国境近くでも、食糧の強奪や暴動が頻繁に起きていた。猫猫は何もできない自分を歯がゆく思いつつも、できる限りのことをやっていた。それは中央からの客人である壬氏も同様で、身の安全のためという名目の軟禁生活を強いられながらも、蝗害を予見していたことで、中央からの支援物資を早く受け取ることができた。だが、その手柄は壬氏ではなく西都の領主代行・玉鶯のものとして扱われてしまう。手柄の横取りに猫猫は腹を立てるが、当の壬氏はどこ吹く風で、皇弟という立場を最大限に利用して戌西州への支援要請を行う。また、物資が不足する中、猫猫にさまざまな問題が火の粉となって降りかかる。謎の腹痛に苦しむ玉鶯の孫娘。変人軍師・羅漢が連れてきた棋聖と呼ばれる老人。同僚の医官・天祐の奇行。そして、消息不明だったあの人が帰ってくる⁉一方、西都では皇弟に対する不満が高まっていく。蝗害による飢えや病に苦しむ民衆は、とうとう皇族である壬氏へ怒りの矛先を向けることに。守り支えていたはずの民衆に恨まれてしまった壬氏の決断は?不審な動きを続ける領主代行・玉鶯の狙いとは?そして、猫猫は無事、危機を脱することができるのか?

■感想
怒涛の展開で読みごたえ抜群でした。玉鶯の策略に反論しつつもはまりそうだった壬氏達。玉鶯には玉鶯なりの信念と葛藤はあったでしょうがそれを塞き止めたのはまさかのキャラでした。壬氏は相変わらず苦労性というか、優しいというか。彼の思いが報われてほしいな。
表紙の陸孫は特に後半大活躍でした。あの優しそうな微笑みの下に過酷な過去をしまっていたとは…。どいつもこいつも陸孫に背負わせ過ぎだろ。しかし最後は前向きな様子だったので安心しました。影の功労者は陸孫と羅半兄ですね。