雪代教授の怪異学

■感想

祓える教授兼幻想作家と怪異が視える男子大学生のバディが挑む民俗学ホラーミステリー。最後まで気が抜けない展開な上にゾクッとするような結末で読み応えがありました。

穏やかそうでいて大切な奥さんを亡くしたことでどこか闇を抱えていそうなミステリアスな雪代先生と先生に助けられた過去を持つ椎奈、お互いを大切に想っているのが伝わってきて良いコンビだなと。ただ次があるなら雪代先生が抱える闇を掘り下げてほしい。

民俗学要素も面白かったです。続編出てくれないかな~。

やがて英雄になる最強主人公に転生したけど、僕には荷が重かったようです

■感想

王道RPGの主人公ルークに転生してゲームの世界を楽しもうと思っていた矢先に幼馴染の本命ヒロインを守りきれずに死なせてしまう。本来の自分を隠してルークとして英雄になろうと決意するが···。
ご都合主義が起きない異世界転生、ということで主人公が何もかも背負い込んで茨の道を歩もうとする姿に痛々しさと切なさを感じてずっしりとした重みのある物語でした。正に光と影がある主人公でとても魅力的に描かれていました。
ある程度ルークの裏事情を知っているサラマンダーの健気さが尊い。本来のゲームのストーリーよりも
ルークに対する周囲の信頼度が高いようなのでそれが吉と出てほしい。ただただルークには幸せになってほしいですね。

聖女様になりたいのに攻撃魔法しか使えないんですけど!? 1

■感想

なぜか男性しか使うことができない攻撃魔法を使えるユフィ、逆に女性しか使えない回復魔法が苦手で劣等生として魔法学園で孤立してしまい···。

ユフィが聖女になりたいのは友達を作って楽しい学園生活を送りたいから、という理由が健気過ぎる。始終おどおどしていて生粋のコミュ障なのが痛いほど伝わってきます(笑)それだけに攻撃魔法を使った時のキリッとした雰囲気とのギャップに萌えました。

生徒会に入ってからは少しずつユフィも積極的になって、変わっていこうとする姿に成長を感じました。基本的に生徒会メンバーが良い人ばかりなのでこのまま友情を育んでほしい。今の所はユフィが突き抜けて強いので、強敵に焦るユフィもちょっと見てみたいかも。

リピート・ヴァイス 1~悪役貴族は死にたくないので四天王になるのをやめました~

■感想

自分の住む世界が人気RPGゲームの世界で、自分がザコ悪役として惨殺される結末を思い出した傲慢なローファス。破滅エンドを避けるために動き出すが···。

自分の破滅エンドを知ったからといって善人になるわけでもなく、貴族特有の傲慢さを貫き通しているローファスのキャラがなかなか尖っているなと。だからといってクズではなく、貴族としての誇りを持っているからこその態度だと思うとなんか憎めない。終盤でフォルをおんぶしているのをみると精神的な成長も感じられます。

昨今では流行りの悪役ものですが、ヒロイン達も可愛かったし面白かったです。まだまだ序章で気になるところで終わってしまったので次巻に期待。

悪役令嬢の兄の憂鬱

■感想

悪役令嬢の兄が妹の破滅を回避する為に奮闘するお話。主人公・ユリシスは優秀だけど他者への接し方に関しては不器用で、イザベラを愛してはいるけどその気持ちが上手く彼女に伝わってなかっただけに少しずつ兄妹の仲が良くなっていくのが微笑ましかったです。

イザベラの成長っぷりが半端なくてそのまま突き進んでほしいところ。個人的にはユリシスがマリアに刀を向けた場面がお気に入り、お兄ちゃんカッコよかった!

ジハールがメインキャラなのに意外と登場少な目で残念。ラストはまさかのユリシスが国王代理に就任、続きがでるなら読みたいです。

夏目漱石ファンタジア

■感想

暗殺された夏目漱石は目覚めると元婚約者である樋口一葉の身体で脳を移植した状態で蘇っていた。自分を殺した作家をつけ狙う殺人鬼「ブレインイーター」の正体を探ることに···。

奇想天外な設定だけど史実もうまい具合に取り入れられていて不思議な魅力が詰まった一冊でした。夏目漱石樋口一葉になる、という時点で読むのを躊躇うかもだけどあくまで現実の夏目漱石とは切り離して読めば結構受け入れられるし、面白かったです。

所々で明かされる作家ネタが強烈で、この作品でも癖のあるキャラばかりだったのである意味では納得(笑)ラストではあの方の登場で次回どんな風にストーリーが動いていくか楽しみ。野口英世が色々と苦労しそうですな。

転生アラサー女子の異世改活 1 政略結婚は嫌なので、雑学知識で楽しい改革ライフを決行しちゃいます!

■感想

平凡アラサー女子が目覚めたら侯爵令嬢・マグノリアに転生していた。両親からは冷遇され、政略結婚のコマにされると気づいたマグノリアは一人で生きていけるように行動していくが···。

どんだけ虐げれていても冷静に状況を呑み込んで生活環境を改善していこうとするマグノリアの根気強さを応援したくなった。3〜4歳の少女にしては不自然過ぎるぐらい大人でもメイド達や祖父・叔父がきちんとマグノリアと向き合っていたのがせめてもの救い。

父・ジェラルドに対して期待するわけでもなくきっぱりと決別する選択をしたマグノリアの清々しさが良かったです。母と兄はクズですが、いつしか父とは時間が経過してからたまに会うぐらいに関係が改善されているといいなと。本格的な改革ライフは次回からっぽいので、続きに期待。