冒険者酒場の料理人

■感想

現代日本から異世界に突如とばされてしまった主人公・ヨイシが冒険者の為に酒場の店主として迷宮に生息する生き物や植物を使って料理を開発していく心温まるストーリー。

ヨイシの迷宮料理に対するあくなき探究心が読んでいて気持ちがいい。根底にあるのが冒険者達に美味しいものを食べさせたい、という優しさからくるのも皆から慕われているヨイシの人柄を表していて始終ほのぼの。どの創作料理も読んでいてワクワクするような面白さがありました。

中盤から登場する看板娘のウカノに癒やされる。アカルナニアにはいつか報われてほしいですね(笑)

聖女の力で婚約者を奪われたけど、やり直すからには好きにはさせない

■感想

婚約者である第二王子ジェイドに婚約破棄を告げられたエアリナ。ジェイドは聖女と結ばれて、エアリナは身に覚えのない罪で裁かれ目を覚ますと3年前に巻き戻っていて···。

流行りの悪役令嬢ものですが、テンプレ的な展開ではなく一風変わった結末が面白かったです。所々にきちんと違和感を感じるようになっていて、読了したら納得の結末だし、個人的に好きなキャラが報われていたので満足です。

主人公・エアリナが責任感の強いキャラなので巻き戻った世界では支えてくれる仲間がちゃんといて一安心、特に女の子同士の友情が胸熱でした。シスコン兄貴が何気にお気に入りです。

かませ犬転生 ~たとえば劇場版限定の悪役キャラに憧れた踏み台転生者が赤ちゃんの頃から過剰に努力して、原作一巻から主人公の前に絶望的な壁として立ちはだかるような~

■感想

異世界ファンタジーRPG【ルーンファンタジー】にかませ犬として登場するクロウに転生してしまった。主人公・シロウの最強のライバルとなるべく立ち回っていくクロウだが···。

クロウのライバル像が良い感じに私の中の厨二病アンテナをくすぐります。分かるわ〜と思いながら読み進めていきました。しかしクロウの思い通りにはいかずササリスに好かれ、その上幼馴染ヒロインのナッツにまで好かれるとは···。それを考えるとラーミアさん優秀ですね(笑)

予想外の展開に慌てるクロウが面白かったです。現時点ではクロウとシロウに圧倒的な差があるのでシロウ側がどう挽回していくか要注目。クロウ母の過去が壮絶で驚きました。

double~彼岸荘の殺人~

■感想

幼い頃に念動力で世間を騒がせた紗良は超能力者を集めて幽霊屋敷の謎を解いてほしいという富豪の依頼を受けて幼馴染のひたなと共に屋敷に向かうが···。

ミステリよりもホラーに比重を置いている印象。各登場人物の視点も取り入れながらストーリーが進んでいくので状況が分かりやすかった。その反面どれが怪異で、どれが人の仕業なのかが曖昧で不気味な雰囲気に拍車がかかっていた。

紗良とひなたはお互いを守っていて二人の絆を感じつつも、どこか寂しさを感じるラストだったなと。でも後味は爽やかでした。恋愛要素は個人的になくてもよかったかな。

 

転生令嬢アリステリアは今度こそ自立して楽しく生きる ~街に出てこっそり知識供与を始めました~1

■感想

前世では主体性のなさを理由に恋人に捨てられ、転生した現世では王太子から婚約破棄を告げられてしまう。しかしその慰謝料としてクレーゼン領を貰い受けたアリステリアは領民が自立できるように知識を広めることを思いつくが···。

前世の知識をフル活用してるけど、いわゆるチートではなくて着実に一歩ずつ自分の所領を良くしていこうとする堅実な展開が良かったです。アリステリアの簿記の説明が分かりやすかった。

王太子ポンコツな上に自分勝手だったので、アリステリアの背負投げに胸がスカッとしました。領民達から慕われている彼女が今後どうやって改革していくか要注目。今回はガッツリ内政ものだったので恋愛方面にも期待したいですね。

 

第七魔王子ジルバギアスの魔王傾国記Ⅳ

■感想

レイジュ族の里から帰還して初陣までの束の間の平穏を描いた第4巻。今回はジルバギアスだけではなく周囲のキャラにも重点を置きながらいつもよりブラックさは薄目の印象。エンマに対抗する為の研究所の設立やとある王子の能力について知れたりなど今後の展開に影響しそうな出来事もちらほらとありました。

ジルバギアスにとって魔族は敵だけど、彼を大切に思っているプラティや魔王の描写が多かっただけに今後の展開次第で辛くなるかもしれないなぁ···。

ダイアギアスとの会話が傑作でした(笑)レイラさんが完全に正妻ポジションどんどん逞しくなってますな。

後宮の検屍女官6

■感想

自分の仇が桃花の父と知って動揺してしまう延明。それでも桃花を大切に想う気持ちが勝って今の所は隠すことに。延明の桃花への想いが儚げでもう少しグイッといって幸せになってほしい。

今回は大長公主の死をきっかけに起こる連続殺人の謎を追っていく。冬の後宮の描写がひもじさと厳しさに溢れていて暗くなったところに、更にズドンと真相がのしかかってきて色々な意味で重い事件でした。現代でも重大な問題なだけに犯人サイドに少なからず同情してしまった。

最後は不穏な謎を残して終了。犯人をたぶらかした黒幕と同一人物なんだろうな···。