氷室教授のあやかし講義は月夜にて 2

氷室教授のあやかし講義は月夜にて 2 (富士見L文庫)

■あらすじ
氷室教授の過去が明らかに? 吸血鬼教授と眷属助手のあやかし講義録!貴族のような容姿と振る舞いが人気の海外民俗学講師・氷室教授。その正体は人ならざる高貴なヴァンパイアで、彼に命を救われた理緒は、教授の【高貴なる者の義務】である“あやかし”調査に駆り出される日々を送っていた。ある時、夜の病院で骸骨が出るという噂の調査へ向かった理緒は、そこで氷室という姓の不思議な老人と出会う。老人は理緒が調査してきたあやかし事件を懐かしむ様子。ところが氷室教授は、老人のことを知らないと言って……?高貴で妖しい講義録。謎めいた教授の過去が明らかに?

■感想
シリーズ2冊目。今回の主題は「別れ」なのだろう。氷室の兄弟であるユフィの登場により混乱に巻き込まれる理緒と氷室。言葉足らずのユフィの目的はきちんと氷室が目をそらさずに自分で選択することだったんだなと。長い間孤独だった氷室にとって清一さんとの別れは耐え難いもので、だからこそ最後まで自分の眷属になるように感情を剥き出しにして叫ぶ氷室を見て涙腺が崩壊してしまった。清一さんの最期の語りが素敵だったから余計に。
別作品の某キャラもいつか登場してほしいです。そして人間に戻ることを改めて決意した理緒に対しての氷室の反応が見てられなくて…。なので理緒の提案で氷室の孤独が癒されるといいなと思いつつも、氷室は吸血鬼のままの方がらしいなと思わないでもない複雑な気持ちになりました。

ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.1 女子高生、はじめてのおてつだい

ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.1 女子高生、はじめてのおてつだい (電撃文庫)

■あらすじ
デビューから早六年。未だに重版未経験の売れない作家、ホヅミこと空束 朔(からつか はじめ)はスランプに陥っていた。渾身の原稿は全ボツになり、売れ線のラブコメを書いてみないかと担当編集に勧められる始末。そんな悩めるホヅミの前に、ある日、白花 茉莉(しろはな まつり)と名乗る謎の女子高生が現れる。彼女の協力のもと、夢のミリオン作家を目指しホヅミは再び執筆に励むが……!?「ホ、ホヅミ先生! これは本当に執筆に必要なことなんでしょうか!?」コスプレさせたり、デートしたり、買い物をしたり。積み重ねていく何気ない日々が、二人の距離を近づけていく――。拗らせ作家×世話焼きJKの甘々癒やし系ラブコメ、堂々開幕!

■感想
売れない三十路手前のラノベ作家と可愛い女子高生のほのぼのラブコメ。主人公・ホヅミが色々と拗らせ気味で卑屈になっているところを家事万能で世話焼きなヒロイン・茉莉が包み込むように癒していく。何気ない日常の中で育まれていく二人の絆にキュンとしつつ、茉莉の生い立ちやホヅミが小説を書き続ける理由など緩急のバランスが調度良くて読みやすかった。
茉莉花以外にもウミ・POP☆コーン・双夜など深く掘り下げると面白そうなヒロインがいるので今後の展開に注目です。個人的にハッピーエンド主義なので、ストーリー展開に関してはホヅミに共感しました。2巻も近い内に読みたいです。

咎人の刻印 ダイブ・トゥ・スカイハイ

咎人の刻印 ダイブ・トゥ・スカイハイ (小学館文庫キャラブン!)

■あらすじ
罪を犯して人の道を外れ、その罪ゆえに人智を超えた異能を宿す者―「咎人」。彼らは自分の罪が昇華するその日まで、夜の闇にまぎれ、同じ姿のまま戦い続けている。令和の切り裂きジャックと呼ばれる殺人鬼・神無と、その相棒である吸血鬼の御影。ともに咎人として生きる彼らに、警視庁異能課の高峰から指令が下る。それは、かつて御影の双子の弟・刹那を甦らせて大騒動を引き起こした「狭霧」という人物の、さらなる暴走を止めてほしいというものだった。どうやらこの狭霧、反魂や屍体を操る禁忌の術を使い、何者かを甦らせようとしていて…?

■感想
シリーズ4冊目。死んでしまった仲間を禁忌の術で甦らせようとする狭霧、周囲を巻き込んでの狭霧の暴走を食い止める為に神無と御影が奔走する。狭霧の行動理由を考えると憎めないキャラだなと思います。大切な人だからこそ自分の為に犠牲になってほしくなくて、やるせない気持ちの行き場がなかったんだろうな。辛い役目を背負って終止符を打った神無にお疲れ様といいたい。
2人の吸血シーンは相変わらず耽美的、お互いに依存しつつも自立もしている理想的なコンビですな。そしてアスモデウスの登場に叫びそうになりました、亜門も出てきてくれないかな。嬉しいサプライズで今回も面白かったです。

他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた2

他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた2 (角川スニーカー文庫)

■あらすじ
優等生と問題児、ちぐはぐな二人の距離が少しだけ近づいた 「あんたのことが知りたい」江南が告げた言葉の真意を大楠は掴みきれないでいた。冬休みに入っても予備校・初詣と江南は大楠の側にいた。江南が誰にも伝えられなかったことを大楠は目の当たりにして……!?

■感想
シリーズ2冊目。基本的にシリアス寄りで、ラブコメというよりもメイン2人の成長ストーリー。今回は江南の家庭環境に踏み込んだ内容となっていて、彼女が他者を拒絶する理由も明らかになっていく。進路に関しても曖昧に濁したままの江南の真意が重くて、直哉が何かせずにはいられなかったのもよく分かる。見守りつつ色々と考えている花咲の江南への友情もすごい。
江南と同じように直哉も消えない傷を抱え込んでいて、辛さを共有しながらお互い寄り添えるような関係になっていくのが素敵。ずっと1人で耐えていた江南から「助けて」という言葉を引き出せたのだから大きな前進といっていいはず。次も楽しみです。

エステルドバロニア

エステルドバロニア

■あらすじ
VR戦略シミュレーション『アポカリスフェ』の頂点に君臨する男はある日、プレイ中に突如として激しい頭痛に襲われ、意識を失ってしまう。ふと男が目を覚ますと、そこはゲーム内で作り上げてきた魔物国家“エステルドバロニア”の王城であり、自らの姿は人間でありながら魔物の王である“カロン”そのものだった。ゲームに酷似したこの異世界で生きていくことを余儀なくされたカロン。彼は強力な魔物たちを従える立場にありながら、自身は非力なただの人間であるという事実に恐怖するが、気持ちを奪い立たせる間もなく国の緊急事態に対処することになり…!?

■感想
「アポカリスフェ」というVRゲームの世界で王であるカロンとして生きることになった主人公のお話。カロン自体は戦闘能力がゼロに等しい人間、対して部下は優秀な魔物ばかりで彼らの力に怯えつつも王としての責務を果たそうとする。
軍団長達は皆カロンによって生み出された魔物達であり、王である同時に父親のような存在でもある。カロンに対する好感度MAXで言葉をかけられただけで幸せになる軍団長達が微笑ましい。
今回は国内紛争でしたが、終盤の展開を考えると他国を巻き込んでの争いも勃発して世界観が広がっていきそう。各キャラも魅力的なので深く掘り下げるエピソードがあったら大歓迎。

忘却聖女(1)

忘却聖女 1巻 (デジタル版SQEXノベル)

■あらすじ
ある日、世界は“私”を忘れた追放された聖女は、ささやかな幸せを取り戻すために再び聖女に返り咲く“聖女”――それはアデウス国の象徴であり、神の代弁者。歴代随一の治癒と浄化の力をもつ第十三代聖女マリヴェルはある日、目を覚ますと周囲の人間から綺麗さっぱり忘れ去られていた。聖女を騙った冒涜者として神殿から追放されたマリヴェルは全てを失いスラムに流れ着くがただ一人、聖女を忘れていなかった神官と再会し再び聖女の座を目指して選定の儀式へ参加することに。ところが、マリヴェルに敵意をもつ何者かの影響か彼女の選定儀式はトラブル続きで……。これは力強くも健気、泥臭くも美しい聖女マリヴェルが、ささやかな幸せを取り戻すために奮闘する物語。

■感想
聖女である少女がある日突然周囲から忘れられてしまい、再び聖女に戻る為に奮闘するお話。過酷な状況でも決して挫けずに突き進む主人公・マリヴェル、そんな明るい彼女と堅物で真面目な神官・エーレのバランスがとても良い。まるで手のかかる姉を見守る弟のようでシリアスな状況でも二人の会話で癒される。
今のところ何故エーレだけ忘却から逃れられたのか、黒幕の目的など分からないことだらけ。
神官はまだしも聖女も恋愛自由な設定は珍しいかも、安直だけどこのままエーレと結ばれてほしい。タフなマリヴェルが神官長を思い出す時だけは涙を流すのが切なすぎる…。早く皆思い出してあげてくれ。

VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた2

VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた2 (富士見ファンタジア文庫)

■あらすじ
数々のおかしなVTuberが所属する大手運営会社ライブオン。配信事故から大人気になった三期生・心音淡雪は、遂に後輩が出来るとウキウキしながら四期生発表配信を見ていたが――「私を貴殿の女にしてもらえないでありますか?」いきなり淡雪に愛の告白をする四期生が現れて!? 更に、「ゴリラさんの雑学でも話したいと思いますですよ~!」「私を甘やかしてください。なぜなら私は赤ちゃんだからです」と、残りも頭ライブオンなヤツばっかり! 挙句の果てに淡雪は『最(高の)ママ』と呼ばれることになり!? ヤバい四期生襲来!! 衝撃のVTuberコメディ第2弾!

■感想
シリーズ2冊目。第四期生を迎えたことでますます賑やかになっていくライブオン。有素の淡雪への思いが見事に変態の領域に入っていてさすがの淡雪もドン引きでしたなぁ…。還の赤ちゃん化もなかなか濃くて一部の方には需要がありそう(笑)そして唯一の良心であったシオン様が…!真面目な人程変貌すると色々と振り切っていくよね…。
淡雪とましろのほのぼのとした友情関係が可愛らしい。リアルでも仲良しとか理想じゃないですか。今回の淡雪は後輩の面倒をみたりと割と変態度控えめでしたね、その代わりに周囲が十分はっちゃけてますが。メンバーが増えてキャラの認識が追い付かなくなってきたのでこれ以上は増えないでほしい。何はともあれ次回も楽しみです。