祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る。(★★★☆☆)

祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る。【電子特典付き】 (MF文庫J)
■あらすじ
世界を滅ぼす邪神の眷属への対抗手段である“遺物”。それを扱う才能を持たぬ【亜人】を純血人類たる【貴族】が従属させ、確固たる身分制度が敷かれた時代。そんな千年後の世界に蘇った英雄・セロトは、人類の衰退ぶりに愕然としつつも、とある問題の解決のため、貴族の身分を得て、全ての叡智が眠るという【学院】に通い始める。しかし、入学時の検査で遺物適正が最低ランクと判明。
劣等貴族と侮られることになるが、実技で実力の片鱗を見せていき……?これは悪夢のような世界と、苦痛に満ちた虚構、そして闇を裂く微かな希望についての物語。『幻想再帰のアリュージョニスト』の著者が贈る純血のハイ・ファンタジー

■感想
シリーズ1冊目。物語の根幹にあるのは貴族と亜人の対立構造。亜人は貴族に使役されるべき存在として描かれており、亜人側はそんな境遇に反旗を翻す。個人的にはミード推し、あれだけ母性の塊のような先輩キャラが崩壊して弟大好きキャラになったのは不憫だけど…。メシスとカームの主従関係もストーリーの良いスパイスになっていたなと。
残念なのは設定もキャラも魅力的なのに1冊に詰め込み過ぎていること。終盤は結構置いてきぼりにされてました…。色々と勿体ないと感じる1冊でした。