賭博師は祈らない(★★★★☆)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

十八世紀末、ロンドン。賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。―それは、奴隷の少女だった。喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想い通わせていくが…。やがて訪れるのは二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。第23回電撃小説大賞・金賞受賞作!
勝ち過ぎず負け過ぎずをモットーに賭博で生計をたてる賭博師・ラルザスと奴隷の少女・リーラの物語。帯に「不器用な二人の〜」とあったけど確かに二人とも感情表現が苦手というか不器用。それだけに二人の距離が段々と縮まっていく過程は実に微笑ましい。
ギャンブルのことは全く分からないけどフランセスとの勝負は白熱した雰囲気が伝わってきて読みごたえがありました。最後のリーラの泣き叫ぶ場面を見てひと安心。賭博師である以上ラルザスは裏の世界も知っているし、決して善人という訳ではないけど皆から頼りにされるのは何だかんだいいつつも彼が世話焼きで信用できる人間だからだろうな。こういう偽悪的なキャラ好きです。でもあの髪型は嫌いだな。