スマホを落としただけなのに（★★★★☆）

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。
正にタイトルそのまんまの作品。スマホを落としてしまったことをきっかけに色々な不幸に見舞われるカップルの話。SNSがどれだけ危険と隣合わせのツールなのかよく理解できた。芸能人とかならまだしも一般人が自分の顔を軽々しくネットにのせては駄目ですよね。最悪自分だけならまだしもクラスや会社の集合写真を無許可で投稿するとたくさんの人に迷惑がかかるので絶対駄目。こう考えると便利だけど制約も多いな〜と思います。
Facebookを始めて最初は皆からの反応が嬉しかった麻美も段々と煩わしく感じてしまう…、というのは分かる気がします。主人公・麻美にもあんな秘密があったんですね。麻美にはＭ体質だといわれ、犯人に振り回され続けた富田はヘタレにしか見えませんでしたが、終盤の活躍はかっこ良かったです。ハッピーエンドでひと安心ですよ。