狂気の沙汰もアイ次第(★★★★☆)

狂気の沙汰もアイ次第 (電撃文庫)

狂気の沙汰もアイ次第 (電撃文庫)

宇宙人により遠く離れた星まで拉致された、山口健次ほか地球の男女7人。彼らは宇宙人から「《アイ》を理解するために、あなたたちを観察する」と宣言される。脱出不可能な集団生活の中、皆に与えられる水分は「飲むと人を殺したくなる水」だけ。当初は、殺人衝動なんて理性で抑えられると自分に言い聞かせていた山口だが──。人は水を飲まなければ乾き、飢え、死ぬ。理不尽な絶望の中に見つけたわずかな希望とは?そこに賭けた山口のたどり着く結末は?殺したくない!殺されたくない!衝撃のサスペンス・ストーリー。
欲望に負けるか、愛を貫くのか。極限状態の中でどのような悲劇が起こるのか、調度良い緊迫感が漂っていてあっという間に読了。主人公の健次が優等生過ぎて違和感があったがそれにはきちんと理由があり、彼なりに「アイ」に対しての結論を出していて成長が感じられた。
「マダナイ」と健次の触れ合いは微笑ましかった、それが最後の結末に繋がっていて何より。健次とヒロインたちの接触があまりなかったのは少し残念。姫子の最後の手紙にはホロリときましたが、めっちゃ良い子。個人的には鹿川が好きでした、「だから、決めた。オレはお前に殺されるって」は立派な殺し文句だと思います。鹿川が女だったら完全に恋愛フラグが立ってるよ。ラストは綺麗な感じで終わったのでこれで終わりかなと思ったら、12月に続きがでるらしいです。また健次たちが巻き込まれるパターンなのかな、もうそっとしといてあげて。