今夜、君に殺されたとしても(★★★☆☆)

今夜、君に殺されたとしても (講談社タイガ)

今夜、君に殺されたとしても (講談社タイガ)

ついに四人目が殺された。連続殺人の現場には謎の紐と鏡。逃亡中の容疑者は、女子高生・乙黒アザミ。僕の双子の妹だ。僕は匿っているアザミがなにより大切で、怖い。常識では測れない彼女を理解するため、僕は他の異常犯罪を調べ始める。だが、保健室の変人犯罪学者もお手上げの、安全な吸血事件の真相は予想もしないもので―。「ねぇ本当に殺したの」僕はまだ訊けずにいる。

全体的にほの暗い。出てくる登場人物にまともな人間がほぼいない、なので共感できる場面があまりなかったのは残念。双子の妹であるアザミを確かに愛しているのに彼女の異常性を理解することができなくて苦悩する主人公の終。最後にいきなり「門」の存在が明かされてちょっとホラーっぽくなったような。でもアザミも自分の内に潜む殺人衝動に抵抗しているのが切ない。
アザミが殺人事件の犯人なのか。終の視点でストーリーが進んでいますが、疑いたくないけど疑ってしまうというジレンマを抱えてしまう終が憐れ。これからこの二人はどうやって生きていくのか、案外なにも変わらずに生きていくのかな。