六人の赤ずきんは今夜食べられる(★★★★☆)

名声のために罪を犯した過去を恥じ、今は猟師として各地を旅する「私」。ある日、訪れた村で奇妙な警告を受ける。「森には秘薬を作れる『赤ずきん』が棲んでいる。赤い月の夜、彼女たちはオオカミの化け物に喰い殺されるが、決して救おうとしてはならない」。少女らと対面した「私」は、警告を無視して護り抜こうと決意する。だが、そのとき「私」は知らなかった。その化け物が、想像を遙かに超えた恐ろしい生き物だということを。そして、少女たちの中に裏切者がいることも―。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。

童話×パニックホラー×ミステリー。過去に名声のために行った己の罪を償う為にオオカミに食い殺される赤ずきん達を助けることにした「私」。猟師が赤ずきんの能力を駆使してオオカミになんとか抵抗しようとする場面はドキドキの連続。また赤ずきん達の中に裏切り者がいることも発覚し、事態はますます緊迫していく。なかなか隙をみせない裏切り者のおかげで最後までハラハラしながら読めました。
殺戮の裏にあるのは秘薬の魅力に支配されてしまった魔女の悲しい恋物語、傲慢な魔女に相応しい結末でした。個人的には猟師になついていた紅茶ずきんが好きです。この著者の作品はまた読んでみたいです。