ぼくたちが本当にシタかったこと(★★★★☆)

ぼくたちが本当にシタかったこと (ガガガ文庫)

ぼくたちが本当にシタかったこと (ガガガ文庫)

この学校に入って数か月。友達も、少ないけどそこそこできて、女の子ともちょっとは仲良くしている。僕の周りには魅力的な女の子ばかりで、少々戸惑うけれど、まあ贅沢な悩みなんだろう。でも、仲良くなればなるほど、僕には気になることがある。それは、この学校が「成年向けコンテンツ」つまりアダルトなコンテンツを作るための勉強をする専門学校なこと。好きになった女の子が、「女優志望」だったら、どう考えてもハートが耐えられる自信がない。エロと恋愛の両立を目指す、悩める煩悩青春模様!
AV製作の専門学校に通う主人公を描いた青春ラブストーリー。まさかこんな異色の作品を刊行してくるとはさすがガガガ文庫、思わず買ってしまったではないか!舞台がAV製作の専門学校なだけあってエロい場面は当然のようにありますが、そういった生々しさを出来るだけソフトな文章で上手く伝えているなと。AVを製作する舞台裏がこういった形で成り立っているんだなと実感しながら読みました。
AV製作の専門学校に通っているからには普通に話している女子が将来AVに出演するかもしれない、主人公・渡戸がふとした瞬間に複雑な気持ちになってしまうのは普通のこと。でもAV製作に関わっていくのならタダノの言う通り排除すべき感情なのかもしれない、いきなり殴るタダノの横暴さはどうかと思うけど。個人的には九重に頑張ってもらいたいけど、後半は近八が追い上げてきました。いつか渡戸の本当に「シテみたいこと」が見つかりますように。