大あくびして、猫の恋 猫の手屋繁盛記(★★★★☆)

ひょんなことから白猫となった旗本の跡取り・宗太郎は、善行を積めば人の姿に戻れると信じ、裏長屋で「猫の手」を貸すよろず請け負い稼業を営んでいる。忍法ならぬ「にゃん法」の秘密を探ったり、猫の駕籠かきと遭遇したり。そんな宗太郎の前に人の姿だった頃の許嫁がやって来て―。それがしは猫ではにゃい。風体はもののけでも、心はもののふ。大人気あやかし時代小説、猫の手屋繁盛記シリーズ。
久しぶりのシリーズ3冊目。相変わらず猫の姿である宗太郎が周囲から受けいられているのには和みます。「にゃこうど」は桃太郎の可愛さ+賢さが炸裂、髪結いという職業が女性のみ禁止されていたなんて驚きです。なんて不平等!堅物の宗太郎らしいけど二人の仲に気付くの遅すぎ(笑)
「奇妙奇天烈な〜」は最後に少しひんやりとするオチがつく怪談話。「にゃっほにゃっほ」という掛け声が可愛かっただけに最終的な行き先を思うとなんともいえない複雑な気持ちになります。「女坂男坂」ではついに宗太郎の許嫁・お琴が登場。年相応に無邪気なところがありつつも、宗太郎をずっと待っていると言葉にした彼女の一途さが素敵でした。お比呂たちも見習えば?両親と久しぶりの再会場面もあり、もしかして宗太郎の父上はあの人…?