冥暗堂偽妖怪語(★★★★☆)

冥暗堂偽妖怪語 (富士見L文庫)

冥暗堂偽妖怪語 (富士見L文庫)

必要とする人しか辿り着けず、店が閉じればもう二度と戻れない質屋・冥暗堂。そこは、妖怪贋作師を名乗る店主が創作した紛い物の妖怪を貸し出す「あやかし質屋」だった。贋作妖怪の寿命は二週間。呪詛と監視のため、恩人の本心を知るため、そして死んだペットのため。人間の願いを受けて、贋作妖怪は創作され、消えていく。そんなある日、記憶を失い、右腕に重傷を負った青年が現れて…。未来を持たない紛い物と、生きてきた過去を持たない青年が紡ぐ、心に響くあやかし譚―。
イラストの美しさに惹かれて購入。面白かったけど、1冊で完結するかと思いきや続きものでした。子鹿に抱っこをせがむるいが可愛いかった、やっぱり正体はあの妖怪なんですね。個人的には第二話の「犬とかまいたち」が好きです。妖怪と人間の共存は難しい、でも決して不可能ではない。喪と野中さんの絆の強さを見てるとそう思えます。本当に良いお話でした。
そして未だに記憶が戻らない子鹿はどうなることやら。微かに思い出したことはあるものの謎は深まるばかり。店主は何か知ってそうな雰囲気だけど。何はともあれ肝心の葛城さんと出会うことが先決ですね。せっかく子鹿が冥暗堂に愛着がわいてきたのに…という思いもありますが。