幻獣調査員(★★★★☆)

独自の生態と超自然の力を持つ生き物、 幻獣。謎多き存在である彼らと人の衝突が増えたため、国家は幻獣を調査し、時には駆除をする専門家を定めた。そのひとりである調査員のフェリは「人と幻獣の共存」を胸に、世界で唯一の幻獣書を完成させるため旅を続けている。これは、人と幻獣の関わりが生む、残酷で優しい幻想幻獣譚。
幻想的な世界観と魅力的なキャラクターで構成されている優しく、そして切ない幻獣譚。表紙のイラストが美しい、まるでおとぎ話を読んでいるかのようでした。切ない余韻の話もあれば、ほのぼのとした話もあって全体を通してじっくりと世界観を堪能することができました。
話の合間に組み込まれたクーシュナとフェリの出会いの話が可愛らしかったです。だからこそフェリの実態を知った時は切なく感じてしまいました。フェリの幻獣に対する強い意思には驚くばかりです。例え同じフェリだとしても過去の思い出を共有することは出来ない、それでもフェリを一途に想いながら最後まで共に歩むことを決意したクーシュナが素敵でした。「我の花」「我のお前」呼びがツボでした。トローも可愛かった。あとがきによると読みきりとのことですが、ぜひ続きを読みたいものです。