プールの底に眠る(★★★★☆)

プールの底に眠る (講談社文庫)

プールの底に眠る (講談社文庫)

木の上で首にロープを巻き、自殺しようとしていた少女「セミ」に出会った主人公である僕。セミに段々と惹かれていく主人公だが…というお話。出だしから始まる主人公が創作したイルカのお話が幻想的。セミとイルカの関係も好きですが、幼馴染である由利とイルカの関係も好きです。愛してはいないけど決して自分から切り離すことのできない大切な存在、こういう2人を見るとやっぱり男女の友情というものは存在するんだなと思います。
セミが何故自殺しようとしていたのか、セミが抱えていた苦しみはイルカにはどうにもできないことで、だからこそ名前が「セミ」だったんですね…。切ないラストになるかと思いきや救いのあるラストで良かった。お幸せに。