サイレント・ウィッチ II 沈黙の魔女の隠しごと

サイレント・ウィッチ II 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)

■あらすじ
魔力測定&恩師の赴任――最強の魔女、正体バレの危機に思わず失神!?〈沈黙の魔女〉モニカは第二王子を狙う敵を極秘裏に“処理”。生徒会会計にも抜擢され、護衛任務は順調……かに思えた。しかし正体バレの危機が次々襲来!? かつての恩師が赴任してきたり、七賢人になるほどの魔力量なのに魔力測定に巻き込まれたり、普通の学園生活に最強の魔女は失神寸前!皆には簡単な社交ダンスやお茶会だって、モニカには精いっぱい。それなのに、第二王子にも次なる危機が迫り――?無詠唱の魔女の極秘任務、メンタルが試される第二幕!

■感想
シリーズ2冊目。第二王子の護衛として極秘で学生生活を送るモニカ。最強の魔女でありながらも人見知り故に問題だらけだったが、少しずつ友達も増えてきて学校に馴染んでいく。社交ダンスやお茶会など皆で協力しながらワイワイガヤガヤやっているのが青春っぽくていいですね。
そして第二王子の暗殺の危機を見事に救ったモニカさんカッコいいっす。ほろ苦い真相でしたが、モニカの頑張りで救われた部分もあってあの人の今後がどうか安らかでありますように。
最後のフェリクス視点の短編では沈黙の魔女が大好きな年相応の彼の姿を見れたのが新鮮でした。推しの存在に興奮するファンにしか見えない(笑)モニカの正体を知った時のフェリクスの反応が今から楽しみです。

霜月さんはモブが好き

霜月さんはモブが好き (GCN文庫)

■あらすじ
「あなただけが、特別なの」放課後、忘れ物を取りに学校に戻った中山幸太郎は、誰もいない教室で眠りこける霜月しほに遭遇する。クラスでハーレムを形成中のモテモテ男子・竜崎龍馬の大本命と噂の彼女だが、いつも無表情で笑ったところを見た者はいない。なのに今、その白い指が幸太郎の手を握って――⁉ヒロインとモブ男子の「秘密の関係」が始まる!

■感想
義理の妹・幼馴染・友人を主人公キャラの竜崎にとられてしまったモブ男子の幸太郎。ひょんなことから竜崎の本命であり幼馴染の霜月と友達になることに。モブから見たハーレム主人公、という設定がよく効いていて面白かった。自分に酔ったような終盤での竜崎の告白が本気で気色悪い。でも幸太郎が言いたいことを殆ど代弁してくれてスカッとしたし、見事なザマァ展開でした。モブ男子カッケー。
完璧な美少女かと思いきや意外とポンコツなしほの可愛らしさが絶大でした。義理の妹・梓も幸太郎への態度を反省して、竜崎のことを冷静に見た上で告白していて敢闘賞をあげたい気分。メイン二人の今後が気になるので続編希望です。

炎舞館の殺人

炎舞館の殺人 (新潮文庫)

■あらすじ
欠落を抱える者たちが陶芸で身を立てる山奥の函型の館。師匠が行方不明となり、弟子たちの間で後継者をめぐる確執が生じる。諍いが決定的になったとき、窯のなかでばらばら死体が発見された。奇怪なことに、なぜか胴体だけが持ち去られていた。炎の完全犯罪は何を必要とし、何を消したのか。過去の猟奇事件と残酷な宿命が絡み、美しく哀しい「罪と罰」が残される――。ラストの1行に慟哭が響く。「このように生きるしかなかった者たち」への著者の深い共感が、全編をつらぬく本格ミステリー。

■感想
今回の舞台は行方不明の陶芸家の弟子達が住む炎舞館。次々と起こる殺人事件で見つかるのはバラバラ死体、やっぱり王道的なやり方で読者を騙してきたなと。なぜ師匠は体に欠落を抱えた者を弟子にしたのか、それはトリックのキーポイントにもなっているし師匠の過去にも繋がっている。
断章で語られた辛い過去からして犯人はただ自分や大切な人の居場所を守りたかっただけなんだろうな。あらすじの通りラストの一行に心を鷲掴みにされた気分、その生き方に絶対共感はできないけれど。しずかの件は見事に騙されました、終盤でしっかりと真相を導き出してくれてひと安心です。

氷室教授のあやかし講義は月夜にて 2

氷室教授のあやかし講義は月夜にて 2 (富士見L文庫)

■あらすじ
氷室教授の過去が明らかに? 吸血鬼教授と眷属助手のあやかし講義録!貴族のような容姿と振る舞いが人気の海外民俗学講師・氷室教授。その正体は人ならざる高貴なヴァンパイアで、彼に命を救われた理緒は、教授の【高貴なる者の義務】である“あやかし”調査に駆り出される日々を送っていた。ある時、夜の病院で骸骨が出るという噂の調査へ向かった理緒は、そこで氷室という姓の不思議な老人と出会う。老人は理緒が調査してきたあやかし事件を懐かしむ様子。ところが氷室教授は、老人のことを知らないと言って……?高貴で妖しい講義録。謎めいた教授の過去が明らかに?

■感想
シリーズ2冊目。今回の主題は「別れ」なのだろう。氷室の兄弟であるユフィの登場により混乱に巻き込まれる理緒と氷室。言葉足らずのユフィの目的はきちんと氷室が目をそらさずに自分で選択することだったんだなと。長い間孤独だった氷室にとって清一さんとの別れは耐え難いもので、だからこそ最後まで自分の眷属になるように感情を剥き出しにして叫ぶ氷室を見て涙腺が崩壊してしまった。清一さんの最期の語りが素敵だったから余計に。
別作品の某キャラもいつか登場してほしいです。そして人間に戻ることを改めて決意した理緒に対しての氷室の反応が見てられなくて…。なので理緒の提案で氷室の孤独が癒されるといいなと思いつつも、氷室は吸血鬼のままの方がらしいなと思わないでもない複雑な気持ちになりました。

ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.1 女子高生、はじめてのおてつだい

ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.1 女子高生、はじめてのおてつだい (電撃文庫)

■あらすじ
デビューから早六年。未だに重版未経験の売れない作家、ホヅミこと空束 朔(からつか はじめ)はスランプに陥っていた。渾身の原稿は全ボツになり、売れ線のラブコメを書いてみないかと担当編集に勧められる始末。そんな悩めるホヅミの前に、ある日、白花 茉莉(しろはな まつり)と名乗る謎の女子高生が現れる。彼女の協力のもと、夢のミリオン作家を目指しホヅミは再び執筆に励むが……!?「ホ、ホヅミ先生! これは本当に執筆に必要なことなんでしょうか!?」コスプレさせたり、デートしたり、買い物をしたり。積み重ねていく何気ない日々が、二人の距離を近づけていく――。拗らせ作家×世話焼きJKの甘々癒やし系ラブコメ、堂々開幕!

■感想
売れない三十路手前のラノベ作家と可愛い女子高生のほのぼのラブコメ。主人公・ホヅミが色々と拗らせ気味で卑屈になっているところを家事万能で世話焼きなヒロイン・茉莉が包み込むように癒していく。何気ない日常の中で育まれていく二人の絆にキュンとしつつ、茉莉の生い立ちやホヅミが小説を書き続ける理由など緩急のバランスが調度良くて読みやすかった。
茉莉花以外にもウミ・POP☆コーン・双夜など深く掘り下げると面白そうなヒロインがいるので今後の展開に注目です。個人的にハッピーエンド主義なので、ストーリー展開に関してはホヅミに共感しました。2巻も近い内に読みたいです。

咎人の刻印 ダイブ・トゥ・スカイハイ

咎人の刻印 ダイブ・トゥ・スカイハイ (小学館文庫キャラブン!)

■あらすじ
罪を犯して人の道を外れ、その罪ゆえに人智を超えた異能を宿す者―「咎人」。彼らは自分の罪が昇華するその日まで、夜の闇にまぎれ、同じ姿のまま戦い続けている。令和の切り裂きジャックと呼ばれる殺人鬼・神無と、その相棒である吸血鬼の御影。ともに咎人として生きる彼らに、警視庁異能課の高峰から指令が下る。それは、かつて御影の双子の弟・刹那を甦らせて大騒動を引き起こした「狭霧」という人物の、さらなる暴走を止めてほしいというものだった。どうやらこの狭霧、反魂や屍体を操る禁忌の術を使い、何者かを甦らせようとしていて…?

■感想
シリーズ4冊目。死んでしまった仲間を禁忌の術で甦らせようとする狭霧、周囲を巻き込んでの狭霧の暴走を食い止める為に神無と御影が奔走する。狭霧の行動理由を考えると憎めないキャラだなと思います。大切な人だからこそ自分の為に犠牲になってほしくなくて、やるせない気持ちの行き場がなかったんだろうな。辛い役目を背負って終止符を打った神無にお疲れ様といいたい。
2人の吸血シーンは相変わらず耽美的、お互いに依存しつつも自立もしている理想的なコンビですな。そしてアスモデウスの登場に叫びそうになりました、亜門も出てきてくれないかな。嬉しいサプライズで今回も面白かったです。

他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた2

他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた2 (角川スニーカー文庫)

■あらすじ
優等生と問題児、ちぐはぐな二人の距離が少しだけ近づいた 「あんたのことが知りたい」江南が告げた言葉の真意を大楠は掴みきれないでいた。冬休みに入っても予備校・初詣と江南は大楠の側にいた。江南が誰にも伝えられなかったことを大楠は目の当たりにして……!?

■感想
シリーズ2冊目。基本的にシリアス寄りで、ラブコメというよりもメイン2人の成長ストーリー。今回は江南の家庭環境に踏み込んだ内容となっていて、彼女が他者を拒絶する理由も明らかになっていく。進路に関しても曖昧に濁したままの江南の真意が重くて、直哉が何かせずにはいられなかったのもよく分かる。見守りつつ色々と考えている花咲の江南への友情もすごい。
江南と同じように直哉も消えない傷を抱え込んでいて、辛さを共有しながらお互い寄り添えるような関係になっていくのが素敵。ずっと1人で耐えていた江南から「助けて」という言葉を引き出せたのだから大きな前進といっていいはず。次も楽しみです。