怪談男爵 籠手川晴行(★★★★☆)

怪談男爵 籠手川晴行 (集英社オレンジ文庫)

■あらすじ
花咲く帝都に怪異を愛する美貌の男爵あり。ひと呼んで怪談男爵!男爵家の当主ながら定職に就かず、裕福な姉の嫁ぎ先からの援助で悠々自適の生活をおくる、美貌の青年・籠手川晴行。怪異を愛する彼はひとたび奇妙な話を聞けば、首を突っ込み東奔西走。二枚目歌舞伎役者・市川翔燕の婚約者を悩ませる、不気味な音の原因は? (第一話「幽世(かくりよ)の音」)
老舗の味噌蔵の嫡男を入り浸っている遊郭から連れ戻す約束をするが、娼妓・“真ほろし”は異常な反応を示して……? (第二話「まぼろし花魁」)放蕩男爵である晴行とは対照的に勤勉な幼馴染みの次期子爵・静栄の家に、深夜現れた十二単姿の女の正体とは? (第三話「屏風小町」)怪奇譚を探し求めていた三流新聞の下っ端記者・諏訪虎之助は偶然知り合った晴行たちとともに、幽霊の泣き声がするという家に泊まることになり……? (第四話「泣く家」)他1編を加え、花咲く帝都を舞台に大正モダン怪奇譚開幕!

■感想
怪異を愛する美貌の男爵と幼馴染の堅物子爵が怪異の謎を解き明かしていく。著者の別作品である「ばけもの好む中将」にテイストは似ているようでいて、こちらはガチの幽霊が出てきます。短編集ですが最後まで読むと話がきちんと繋がっていて、犯人の欲望のために利用された被害者を思うと祟りたくなっても仕方ない。
シズちゃん、ハルちゃん、とちゃん付けで呼び合う幼馴染コンビが尊いです。あとがきを読むとあのコンビをモデルにしてかいたとのことで納得。適度に怖くてバディものしても楽しめる良作。またこのコンビで何か書いてほしいです。