帝都千一夜 美男のシェヘラザード(★★★★☆)

帝都千一夜 美男のシェヘラザード (小学館文庫 C み 7-1 キャラブン!)
■あらすじ
帝都・京橋区にある滝澤旅館の主人は、無口で無愛想な男、和恭。彼が時折、宿の中庭を眺めながら縁側でともに茶を飲むのは、しばらく前からこの宿に滞在している異国の青年サレハだ。サレハは一年ほど前、遥か遠い砂漠の国から、主命により故郷の品を商うために帝都にやってきた。今は銀座の勧工場を借りて店を開き、故国の華麗な絨毯や優美な道具に囲まれて商売をしている。まるで人形のような美貌を持つサレハだが、意外にも人懐っこく話好きで、時間があれば故郷の風物や闇に沈む者たちの話を和恭に語って聞かせ、和恭も熱心に耳を傾けるのだった。そんなふたりの周囲で、奇妙な出来事がたびたび起こり人々の心を惑わせる。人を若返らせる水差し、夜店の向こうにあるバザール、香りが消えた金木犀――山伏姿の警視総監・虚空に依頼され、サレハと和恭は、この地にやってきた異国の妖霊たちが関わっているらしき不思議な事件の謎を探ることに……。人ならざるものを見る青年が帝都で語る、妖霊(ジン)たちの物語。

■感想
旅館の主人・和恭と砂漠の国から来た青年・サレハが妖霊絡みの事件を解決していく。和恭とサレハの間に流れるゆったりとした雰囲気が読んでいて心地良い。
ずっとこのままでいてほしい、と思いつつも終盤に2人の絆を試すような事件が起こる。寂しいけれどサレハの幸せを願って身を引く選択をした和恭の気持ちが尊い。和恭の過去を考えると尚更グッとくるものがある。
山伏兼警視総監の虚空さんも良い味出してました、現実離れしている設定だけど夢があっていい。サレハの故郷のこととか気になるところはあるけどそこら辺をぼかしてるのは三木先生らしいなと。またこの2人に会いたいな。