平安後宮の薄紅姫 三 恋する女房と物語の縁(★★★★☆)

平安後宮の薄紅姫 三 恋する女房と物語の縁 (富士見L文庫)
■あらすじ
許嫁が物語を全否定!? 恋と書物の相談に薄紅は……?怪異や難事件の駆け込み寺・薄紅(うすくれない)の姫。昼の姿である末席の女房として、中宮(ちゅうぐう)崩御のあとは、その娘である内親王付きの女房となっていた。その一方で、夜の姿である薄紅の元には、晴明の孫・奉親(ともちか)が入り浸っている。さらに彼の紹介で、日中の同僚である右近(うこん)まで相談に現れてしまう。正体を隠している薄紅だが、書物と恋にまつわる右近の悩みを放っておけず心を砕く。その相談をきっかけに、薄紅は実兄から自分の婚約話に言及されるはめに。読書と友人の恋がかかった「婚約」という危機に薄紅は……?


■感想
シリーズ3冊目にして完結。今回は同僚の女房・右近の恋の手助けがメイン。物語嫌いな婚約者に恋をした右近、薄紅は大切な友人の為に奔走する。禎子を始めとして位の高い人が一人の女房の為に協力するのは薄紅への信頼があってこそ、物語を通して人の縁を結んだ彼女の誠実な行いがあってこそでジーンとくる展開でした。右近の「好きな人と半分こ」という優しく寄り添うような言葉も素敵でした。
奉親とは戦友のような良いコンビで、最後まで今のような変わらない関係だったんだろうな。個人的には誇り高く優しい禎子様がお気に入りでした。最後の一文で判明した薄紅の正体は予想通り。同じ物語好きとして共感できる部分が多い物語でした。