平安・陰陽うた恋ひ小町 言霊の陰陽師(★★★★☆)

■あらすじ
平安の世。今上帝の女御の歌会でひときわ称賛を集める女房がいた。彼女は、袖にした貴族の悪夢、恋煩いの相手探しなど、後宮の女たちの相談役であり、恋歌の名手・小野小町。しかし、ひと筋縄ではいかない恋物語の裏には、あやかしどもが巣喰っていて―。承和の変の謀反から二年。いまだ権力争いの残り火に翻弄される後宮で、言霊をあやつる異才の陰陽師が、難事も怪異も解き明かす。

■感想
謎多き美女・小野小町。しかしその実体は言霊をあやつり、後宮を守る陰陽師だった。設定が斬新で一気読み。恋歌の名手といわれているが小町自身は自分に与えられた使命に忠実で昔の恋を引きずっている。在原業平との掛け合いが面白かったので業平の努力が報われるといいな。
特に終盤の鬼に対して小町の言葉は胸に染み込んできて、一つ一つの言葉を大切にしている彼女だからこそいえたんだろうなと。小町が背負っているものが大きすぎるので彼女の使命を知った業平にはこれからも小町を支えてほしい。