- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/03/22
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (6件) を見る
フリージャーナリスト・大刀洗が遭遇する事件の真実をあばいていく。大刀洗が時折呟く一言がまるで鋭い切れ味を持ったナイフのようで、事件にメスをいれているかのようだ。彼女の佇まい自体も淡々としていて、記者として冷静に事件を見つめる姿が印象的。
「名を刻む死」は大刀洗の最後の言葉が頭から離れない、京介の心を救う為の一言だった訳だけどその言葉を的確に選ぶ大刀洗がすごい。「恋累心中」は若さゆえの過ちといってしまえばそれまでだけど、手を差しのべなければいけない立場の大人があんな奴らではやり切れない。自分も苦しみ、更に大事な人を殺さなければと思ってしまった彼の苦痛は計り知れない。全体的にほろ苦い結末でした。