さくら花店: 毒物図鑑(★★★★☆)

レトロな雰囲気の小さなその店にやってくるのは、心に深い悩みを抱える客ばかり。それは植物たちが、傷ついた人の心を癒そうとして彼らを呼び寄せているからだ。そんな不思議な花店を切り盛りするのは、植物の声を聞くことができる、店主の佐倉雪乃。悲しい人々を救おうとする植物の願いを受けて、その手助けをするのが雪乃の仕事だ。今日もさくら花店には、暗い顔をした客がやってくる。不思議な力を持つ雪乃を支えるのは、極度の人嫌いでぶっきらぼう樹木医の夫、将吾郎。風変わりな夫婦の日々と、植物にまつわる事件を描く、優しくて怖い花物語

久しぶりの宮野作品。ヒロインについていけず幽霊伯爵シリーズを途中で読むのをやめた過去があったのですが、今回は大丈夫でした。舞台はどこかしらを病んだ人々が訪れる花屋、主人公の雪乃をはじめとしてメインキャラは大抵どこか心に歪さを抱えている。でも雪乃と将吾郎がお互いを必要としているのは確かで、特に将吾郎は雪乃と出会わなければずっと一人だったと思う。将吾郎が雪乃のことを「俺の女」発言したのには秘かに萌えました。
途中から登場したヒロも心に傷を抱えて生きてきた、根は優しい子なだけにせっかく出来そうだった友達とあんなことになってしまうとは…。彼にも幸せになってほしいです。タイトル通りストーリー全体に良い意味で「毒」が散りばめられている作品でした。