校舎五階の天才たち(★★★★☆)

校舎五階の天才たち (講談社タイガ)

校舎五階の天才たち (講談社タイガ)

高校三年生・来光福音のもとへ届いた、自殺した同級生からの手紙。彼は「東高三人の天才」の一人で、見た目も人格も完璧な男の子。「僕を殺した犯人を見つけてほしい。犯人は東高の人間です」と書かれた遺書に導かれ、福音は「人の心が読める女」と呼ばれるもう一人の天才・沙耶夏と事件を調べる。なぜ非凡な少年は凡人の少女に想いを託したのか?せつない謎解きが始まる。
福音と沙耶夏が死んだ篠崎から届いた手紙をきっかけに犯人探しをする過程は学園ミステリとして楽しんで読めました。謎を追っていく内に浮き彫りになっていくのは、天才と呼ばれるからこそそれぞれが孤独を抱えていること。一緒にいる内に福音が沙耶夏と友達になりたいと思うようになるのが微笑ましい。
篠崎の死の真相はほろ苦いながらも彼の最後の願いに温かい気持ちになりました。福音は篠崎とあまり接点がないのになぜ謎解きをすることになったのか、という理由も気になっていたので納得。福音がどんどんアクティブになっていきましたね。これから三人で仲良く青春してほしいです。