繰り巫女あやかし夜噺~お憑かれさんです、ごくろうさま〜(★★★★☆)

古都・玉繭神社で謎解き、不可思議、糸紡ぎ。とんとんからん。玉繭神社にある機織り小屋で、今日も巫女・絹子は布を織る。田舎の辺鄙な村を出た絹子は、神社内に住みつつ大学で講師として機織りを教えている。住処は大家が管理し、シロとクロという若者がいつも美味しい料理を作ってくれ、快適だ。だが、其処にどんなモノが住まうのか絹子は知らない―。ある日、絹子は生徒から「神隠しに遭った」と相談を受け…。古都を舞台に糸が舞う、あやかし謎解き噺。
薬屋のひとりごと」の作者ということで購入。主人公である絹子自身が色々と背負う重い過去や隠された秘密、巻き込まれてしまうあやかし関連の事件など読み応えのある一冊でした。教え子である崎守さんは辛い状況から解放されたものの結末を考えると傷は残ってしまいそうだなと、これからも絹子と仲良くしてほしい。それに引き換え絹子の村の人間はろくでもない奴ばかり…、特に親は最低ですね。姫香という味方がいて良かったけど、この子怖い!
連続殺人事件の犯人はあの人でしたか…、中盤あたりから妙な言動をしていて気になっていたので納得。だけどまたその裏に黒幕がいるとは思わなかった…。最後は大家がどれだけ絹子のことを大切に思っているかわかって萌えました、この二人の関係いいですね。粟花の過去は切ない…。粟花と九郎が最後に交わした「お憑かれさん」、「御九郎さま」という会話は言葉の使い方が上手だなと思いました。