あやかし万華鏡 佐香と奇妙なお客たち(★★★☆☆)

あやかし万華鏡 佐香と奇妙なお客たち (富士見L文庫)

あやかし万華鏡 佐香と奇妙なお客たち (富士見L文庫)

駅前繁華街から一本入った昭和の佇まいを残す横丁にある、小さな名もなき万華鏡専門店。お店に並ぶのは、佐香の手による美しい万華鏡たち。家事全般は年下オーナーの森住に任せっぱなし、生活能力皆無で金銭にも無頓着という男だが、彼が創るのはただ美しいだけの玩具ではない。「僕は祓い屋などではない。ただの万華鏡作家だ」妖異に容赦なく、美味しいものに弱い。唯一無二の万華鏡師・佐香の創り出す幻想に惹かれ、今日も人ならぬお客が訪れる―。
無愛想な容姿端麗の万華鏡師・佐香と金持ちオーナー・森住が万華鏡を通して妖異の騒動に巻き込まれるお話。舞台は船橋駅周辺ということで、学生時代に使っていた駅なので景色を思い出しながら読みました。普段は万華鏡のことにしか興味のない佐香が森住の作る料理に魅了され、餌付けされている場面は微笑ましかったです。でも全体的に物足りなさも感じてしまいました。客との接触もあるとはいえ、主人公の佐香が出不精のせいか森住以外との会話があまりなく、ワンパターンに感じてしまったせいだろうか。基本的に森住は佐香をどろどろに甘やかしているので、お腹一杯になったからかもしれない。
「神代の海」の件は後味の悪い終わり方でしたが、なんとか解決して良かったです。とりつかれた人が不憫…。佐香の妖異に対して残酷になれる側面は嫌いじゃないですが、彼の精神的には負担が大きいのではないかと。そこら辺は森住の料理でフォローされてるのかな(笑)