おはよう、愚か者。おやすみ、ボクの世界(★★★★☆)

あるSNSの書き込みが話題になっている。一人の高校生・大村音彦が、何人もの中学生を支配し、恐喝した。その額、累計3000万円―。そして今晩、ついに三人の中学生を半殺しにしたという。「けれど、それは最悪な嘘だと知っている。だって、大村音彦は俺の名前なのだから―」最悪な一夜の逃走劇の中、大村が掴んだ唯一の手がかり。それは「榎田陽人」という女子中学生の存在だった。逃げる少年と、追い詰める少女。壊れた世界に生きる彼らが出会う時、思いがけない事件の真相が明かされる。圧倒的感動で話題を呼んだ『ただ、それだけでよかったんです』に続く、待望の衝撃シリーズ第2弾。
表紙の竹岡先生のイラストが素敵。前作に引き続きいじめ等を題材にしたシリアスなストーリー。全てを一人で背負おうとする音彦が切なくて、音彦の想いが報われていないことがただただ残念でなりません。最初は妙に尖ってる子だな〜と思っていた陽人も蓋を開けてみれば一人の少女を必死で守った純粋な女の子に過ぎないんですよね。それだけに最後の黒幕の変貌っぷりは嫌悪感しかわかなかったです。陽人が断罪した奴らは自業自得…。
こんな結末になった以上、音彦にはまた陸上部の部員達と笑い合える日がくるといいなと思っているけど難しそうだよね…。色々と考えさせられることの多い作品のような気がします。最近のラノベの中では珍しい作風だと思うのでまたぜひ似たような系統で書いていただきたいです。