晴明の事件帖 消えた帝と京の闇

■感想
レーベルの関係なのか、いつもの著者の作品よりもしっとりとした妖しげな雰囲気が醸し出されていて文体で表現を切り替えできるのがさすがです。

飄々としていてミステリアスな清明と誠実で情に厚い実資のコンビのバランスが良い塩梅で、二人の友情関係が微笑ましかった。

あの天皇が原因で色々な人が振り回されたんだなと思うと気の毒。

宿敵·蘆屋道満との対決が主軸になっていくわけですが、ただの悪役の枠におさまらないどこか憎めないキャラが素敵でした。やり方が豪快なだけで最後の清明達との会話にホロリときた。

今週出る2巻も予約しなくては。

魔術師クノンは見えている

■感想
盲目の少年・クノンが才能を発揮して魔術師として研鑽していくお話。ハンデがありながらも努力を怠らないクノン、最初は生気がなかった彼がユニークなジョークを飛ばすようになるまでに心が健やかになったのは間違いなく良い人達に恵まれたから。そんな温かい雰囲気のおかげで安定した読みやすさでした。

何よりクノンと他キャラのコメディタッチな会話が魅力的。クノンは完全に自覚のないボケですね(笑)

最後のタイトルの回収は、そういうことか…!と呟きたくなりました。 

狭い世界からようやく飛び立つクノン、これから本格的にストーリーが動きそうで楽しみです。

高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い

■感想
普段は暗くて地味な主人公が実は···という王道的な設定の作品。神作家でたくさんの人間に影響を与えているにも関わらず本人が無自覚なのが少しもどかしかった。
でも幼馴染みのみちるにふられてから少しずつ周囲の人間に目を向けて変わっていこうとしたり、ひどい言葉で傷つけられても最後までみちるを助けようとする姿は純粋に素敵でした。

最初と最後で大きく印象が変わったのはみちるも同じ。高慢な態度だったのに自分に寄り添ってくれていた大切な幼馴染みの存在を再認識して、ラストの素直な笑顔に繋がる展開が上手だなと。

コメディ色多めでサクッと読めるラブコメかなと。個人的には大きく成長したみちる推しです。

スパイ教室07 《氷刃》のモニカ

■感想
モニカの裏切りにより混乱に陥る灯のメンバーたち。クールなようでいて実は熱い思いを胸に秘めたモニカの純真さに心を奪われました。好きな人の為に、そして灯の仲間達の為に離反を決意した彼女にはただただ幸せになってもらいたいと願うばかり。

裏で必死にサポートしていたティアの成長っぷりにも驚きました。それに比べて今回はクラウスが不調でしたが、どんでん返しがあるのかしら。

終盤でモニカが告白する場面にはジーンときました。あの子はどんな返事をするんだろうか。

負傷して動けないメンバーが多い中で遂にあの子が立ち上がりました。次回どんな活躍をみせてくれるのか楽しみです。

また殺されてしまったのですね、探偵様2

■感想
父親の死の真相や最初の七人との対決に備えて父の旧友・フィドと接触を図ろうとする朔也たちにまたしても事件が降りかかる第2巻。

全体を通して事件のスケールが大きくて良い意味で非現実的。風呂敷たたむのが難しそうなのにきちんと推理小説にもなってるのがすごいなと。

フィドがまさの犬とは…!ベルカがいるとはいえ朔也とは違った意味で大変そう。クールでダンディなおっさんキャラいいですな。

孤島の話はすごい所で終わってしまって続きが気になる。シャルさんあんたやることが規格外過ぎだよ…。

ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います4

■感想
4年に一度の闘技大会で参加申請の窓口担当になってしまったアリナ、相変わらずの残業三昧には気の毒でしかない。

そんなアリナを一途に思いながら仕事を手伝うジェイドが男前…!アリナにとってジェイドの存在の大きさが分かる場面がちらほらあってラブコメ方面は順調のようです。

そしてどこか陰のあるロウに焦点をあてた巻でもあり、クールな彼がずっと欲しがっていた友人を守るために奮闘する展開が熱かったです。

魔神の背景も仄めかされ、最後はあの人の正体も発覚。どうまとめていくのか次回に期待です。

勇者、辞めます ~次の職場は魔王城~

■感想
孤独だった勇者が本当の仲間を得るまでの物語。キャラが生き生きしていて、ストーリーも全体を通して読みやすい。

人間側から追放された勇者・レオが魔王軍に就職して、その優秀さを生かして魔王軍再建を目指していく。

四天王とのコメディタッチなやり取りに和みつつ、レオの過去に迫っていく度に後半はシリアスな展開に。

レオの決死の覚悟を温かく包み込むように癒したエキドナや四天王達の優しさにジーンときた。ハッピーエンドが好きな私にとっては安心して読める一冊でした。