ジャナ研の憂鬱な事件簿 3 (★★★★☆)

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。一緒に過ごしていくうちに少しずつだが変化していく自らの気持ちに気づきはじめ、お互いを意識するようになる。そんな中、真冬の曾祖父にあたる宗次郎が残した「メロスを燃やしてくれ」という謎のメッセージから、「自画像・メロス」という奇妙な絵画に秘められた謎を解き明かそうとする啓介と真冬は、とあるアクシデントにより箱根の旅館へ二人きりで泊まるハメになってしまうのだが…。ほろ苦い日常系ミステリー、「自画像・メロス」など三つの短編を収録。

シリーズ3冊目。相変わらず期待を裏切らない安定した面白さ。謎解きの部分はもちろんのこと啓介と真冬の仲も一歩前進した様子。個人的には「自画像メロス」がお気に入り。政治に利用できるものなら何でも利用しようとする真冬の父親にはイラっときましたが、一瞬で絵に込められた意味を察知するあたり優秀な人間なんだなと。真冬が尊敬する宗次郎さんが素敵な人で良かったです。
「怖いもの」は啓介の頭の良さを改めて実感しました。あんなに皆が見ている前でよく見破れたな〜。最後のユリの行動のせいで真冬との仲はギクシャクしてしまいましたが、真冬は嫉妬していたので恋愛的には前進でしょうか。次にどう響いてくるのか楽しみです。