装幀室のおしごと。 ~本の表情つくりませんか?~ (★★★★☆)

この本にはどんな表紙が似合うだろう?紙の種類は、帯の有無は、中身の文字組みはどうしよう?こうして試行錯誤を繰り返して、時には編集や作家と熾烈に火花を散らせながらも、その本だけのぴったりなデザイン“本の表情”を生み出すのが『装幀家』の役割だ。それを信条に出版社の装幀室で働く本河わらべは、その男の言葉が信じられなかった。「本の内容には目を通さない主義だ。中身を読もうが読むまいが、売り上げが変わるとでも思っているのか?」
本のデザインを考える装幀家のお話。装幀を「本の表情」という言葉で表現しているのがとても気に入りました。ゲラを読まずに編集者や作者の言葉だけでデザインして読む時間を省く巻島のやり方は合理的だけど、個人的にはやっぱりわらべのスタンスの方を応援したい。巻島に少しでも本を読ませようとするわらべのガッツがすごい、同じ本好きとして共感できる。
湯川の横柄な態度にはムカッときたけど、装幀が原因で自分が伝えたかったことが伝わらなかった時の無念さを考えると仕方ないか。そして巻島が本を読まない理由も明かされますが、そこら辺は少しご都合主義だなと思ってしまいました…。最後は二人で切磋琢磨しながら互いに足りない部分を補うように仕事をしていて、きっとこれからもっと良いコンビになっていくんだろうな〜と思いました。しかし巻島はタイミングが良ければわらべに告白するのかな(笑)