押し入れの中のダンジョンクラフト ‐幸福で不幸で幸福な兄妹‐(★★★★☆)

高校生の僕、椎名透は寮の自室にある押し入れ の中にダンジョンができていることに気づく。中はまるでゲームのように広大なダンジョンで、その中心にある大きな樹の下に辿り着くと僕は目を見張った。幼い頃に事故で死に別れ、なぜか死体が消失したはずの妹、あーちゃんが 眠っていたからだ…というお話。
最後は思わず泣いてしまいました。透のあーちゃんへの溺愛っぷりがすごくて、正直少しひいてしまった部分もあったり。前半はあーちゃんとの再会でほのぼのしつつも、後半は様々な事実が浮き彫りになり辛い現実と向き合わなければならないというシリアスな雰囲気に。ラストはなんとなく想像できましたが、もしあーちゃんが自立しなければ透はドラゴンになってあーちゃんとずっと一緒にいる道を選んだってことですよね。最終的に由美が報われたから良かったもののやっぱり透にとっての一番はあーちゃんだったのかなと。あそこまでくるといっそのことあーちゃんとずっと一緒にいるという選択でも良かったんじゃないかと思ってしまう。
真緒が抱える宿命が思った以上に重かった。透や由美と出会えたことが彼女にとってはかけがえのないことだったんだろうな。奇跡に近いけどまた透があーちゃんや真緒と再会できたらいいなと思います。