ノロワレ 怪奇作家真木夢人と幽霊マンション (下)(★★★★☆)

積年の怨みが凝縮されたような後味の悪いラストはさすが甲田先生。そんな悲惨な状況の中でも唯一の希望は結と克己が無事であり、「幽霊マンション」という牢獄から抜け出せたこと。結局のところ結たちはどこまでも部外者で、ただ単に巻き込まれただけだった。
生駒老人の悲痛な叫びが心に色々な意味でグサッときた。そりゃあ大事な孫や息子があんなことになって簡単に許せるわけがない。周囲からは生駒老人たちが批判ばかり浴びせられていたけど、復讐された側も自業自得。それでも亡くなった子供たちに罪はないので複雑ではありますが。
夢人の人を食ったような態度は相変わらず。「オレは、この『呪い』に本懐を遂げさせたいと思っていたんですよ」という解決する気ゼロの態度にこいつが現実にいたら関わりたくないな…と心底思いました。電撃文庫では続刊がストップしているノロワレシリーズですが、MW文庫でもいいのでぜひ完結させてほしいです。