吸血鬼は僕のために姉になる(★★★★☆)

吸血鬼は僕のために姉になる (ダッシュエックス文庫)
■あらすじ
丘の上の屋敷には、盲目の吸血鬼が住んでいる。そういう噂を聞いたのは、僕がとても小さな頃だ。唯一の肉親であった祖父を喪った僕は、件の女性、霧雨セナに引き取られた。彼女の正体は噂通りの吸血鬼。ただし、性格は心配性でおせっかいの姉といった感じで、おまけに物理的な距離が常に近い。そんな彼女のまわりには、一つ目の怪物、犬の郵便屋など、多種多様な生き物が溢れていて、それらが視える僕には特別な力が宿っているらしい。未知の世界で新しい家族――吸血鬼・セナをはじめとする人外の存在と絆を深めるラブコメディ。

■感想
天涯孤独となった少年が吸血鬼の女性の元で人外の存在に触れながら絆を深めていくお話。頑張って姉になろうとするセナが微笑ましい。日向は幻想種の存在に戸惑いながらも友人の心音や佐伯が直面した問題、幻想管理人であった曾祖父のことを知っていく内に成長していく。特に佐伯とのエピソードは心にグッときました。別れと同時に新たな出会いが救いだと思いたい。
終盤の日向とセナの吸血シーンはイラストも相俟って背徳的。セナの「きっと、恋をしているように近い距離になるからかもね」が好きです。二人にはこのまま姉弟でいてほしいような一歩進んだ関係にもなってほしいような。 その後の二人もみてみたいです。

竜と祭礼2 ―伝承する魔女―(★★★★☆)

竜と祭礼2 ―伝承する魔女― (GA文庫)

■あらすじ
王都の護りの要「杖壁」が何者かに解かれた。魔法杖職人見習いであるイクスは、姉弟子のラユマタに半ば押し付けられるかたちでその犯人の調査に臨むことになる。調査の協力者は、竜の杖を持つユーイと同級生のノバ。わずかな手がかりをもとに調査を進めていくうちに、3人はとある村にたどりつく。その村で自らの出生を知るイクス。「善い」杖を携え、生き方に迷うユーイ。そして、村外れの森に住むという不死の魔女。各者の思惑が交錯するなか、村の収穫祭で明かされる真実とは…。竜が消えても、物語は続く。竜の魔法が残されたこの世界で―。杖職人たちの物語、待望の第2弾。

■感想
姉弟子・ラユマタの命令により王都の守護の要である「杖壁」製作に携わったマリという人物を調べることに。今回は「魔女」がキーワード。忌み嫌われている「魔女」の正体とは一体何なのか。その秘密が明かされていく内にイクスの出生についても判明していく。エピローグにしんみり、継承した彼女の今後に幸あれ。
ユーイの周辺は色々な思惑が交錯していて最後の展開には「え!?」と思ってしまった。あとがきによると続きもあるみたいなので早く二人には再会してほしい。ノバは友達思いの優しい子でした、ユーイの味方でいてほしい。オットーにきちんと居場所があって良かった。続きも楽しみです。

難事件カフェ2(★★★★★)

難事件カフェ2 焙煎推理 (光文社文庫 に 22-5)
■あらすじ
隠れ家的喫茶店プリエールに県警秘書室の直ちゃんが持ち込んだのは、企業の御曹司が殺害された事件。事件発生時に一緒に別荘にいた友人三人の犯行は否定され、外部犯の可能性も否定されてしまう。犯人がいない(⁉)殺人事件を、店主の季(みのる)と、元警官でパティシエ役の弟・智(さとる)はどう解くか(「?第1話」)スイーツが彩る奇妙な三つの事件を、名探偵の兄弟が華麗に解決に導く。

■感想
久しぶりのこの兄弟に出会えて嬉しいです。相変わらず兄弟+直井の会話が面白い、特に直井の時折する過激な発言がツボだったりする。第1話は犯人の執念を感じ、被害者達の傲慢さに最初は気付けなかったのが無念。それだけに最後の展開が爽快だった。第3話は小学生の真広君が大健闘、本当に毎日地獄だったろうによく頑張った!
時折視点になる「わたし」が自分に似ている部分が多かっただけにゾッとした。最後に明かされた智の退職理由に心配になったけど季がいるから大丈夫だよね。本当に仲良し兄弟で智がお兄ちゃん大好きなのが伝わってくるし、智の「兄ちゃん」呼びにキュンときました。ぜひまた続きが読みたいです。

ひきこまり吸血姫の悶々2 (★★★★☆)

ひきこまり吸血姫の悶々2 (GA文庫)
■あらすじ
「ごめん。お前、誰だっけ」?コマリが意図せず煽ってしまったのは七紅天大将軍の一人、フレーテ・マスカレール。これがきっかけで事態はどんどんエスカレートし、ついに将軍同士が覇を競う「七紅天闘争」にまで大発展してしまう!敵となる将軍どもは手ごわいヤツばかり……かと思いきや、コマリは新たに七紅天となった少女、サクナと打ち解ける。文学趣味で、コマリのことを「姉」と慕うサクナは、コマリ以上に内気で気弱な子だった。一方その頃、宮廷内では要人暗殺が横行。さらにはヴィルがサクナに微嫉妬したりと、コマリの周囲は大さわぎ。コマリの平穏な引きこもりライフは、はたしてどうなる!?

■感想
シリーズ2冊目。今回はコマリと同じくなりたくないのに七紅天大将軍になってしまったサクナがメイン。大人しそうな顔して意外に策士で根性あるし、無自覚に強いし、結構なストーカー気質で見た目と違って色々な意味で底知れぬキャラでした。彼女がずっと抱えていた闇をコマリが吹き飛ばしてくれたのは正に爽快
な展開。覚醒したコマリは本当に凛々しくて素敵、コマリにもサクナという友人が出来て良かったです。ヘルデウスさん良い人だった、疑いそうになってごめんよ。
そして段々と侵食していく「逆さ月」の存在、コマリめっちゃ狙われてるしエピローグが不穏ですな。ヴィルに毒殺された上にコマリに圧倒的な大差で敗北したデルピュネーが哀れ(笑)

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を(★★★★☆)

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を (電撃文庫)
■あらすじ
“主人公”募集。そんな怪しいバイト募集の張り紙に惹かれ、謎の美女が主を務める洋館を訪れた平凡な高校生の輝馬。雇い主である彼女に促され手にしたのは、読んだ人間を眠りに誘い本の世界に引きずり込むという特別な本“アンフィニシュトの書”だった。物語の世界で憧れの主人公になり、可憐なヒロインと出会った輝馬。しかしある夜、彼女は殺されてしまい―。主人公だけが物語の結末を幸せに導けることを知った輝馬は、彼女を救うべく再び本の世界へ。はたして彼は物語の謎を解き、ヒロインを幸せにできるのか?

■感想
バッドエンドの物語をハッピーエンドにする為に主人公・輝馬は物語の世界に入り込んで死んでしまうヒロインを救うことに。物語のヒロインであるアリアと接する内に段々と彼女に惹かれていく輝馬。アリアが目の前で殺されたり、自分が死んでしまったり等ショッキングなことがあっても最後までアリアを幸せにしようとした輝馬のガッツに拍手。
繰り返されていくバッドエンドのループで分かった悲しい真実、彼女にとっては救いともいえるハッピーエンドでも輝馬にとってはほろ苦いビターエンド。泣く輝馬を慰める絵色さんを見てはじめてこの人を大人だと思った(笑)誰かにとってはハッピーエンドでも違う誰かにとってはバッドエンドかもしれない、とても面白かったです。私は断然ハッピーエンド派です。

ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1(★★★★☆)

ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1 (HJ文庫)
■あらすじ
異世界ワーウルフに転生⇒美少女との主従生活!?ある日、目覚めたら異世界ワーウルフに転生していた竜之介。しかもワーウルフは人間はおろか他の魔物とも意思疎通ができない種族だった!
超ハードモードな状況に戸惑う竜之介だが――「……わたしと一緒に、テイムロイヤル、出てほしい」テイマーを目指す美しいお嬢様・エフデを救ったことで、彼女のパートナーとして生活することに!
しかしこのお嬢様、名家出身のはずが貧乏でバイト三昧と、何やら訳ありのご様子……!?言葉はなくても心でつながる異世界ワーウルフ転生譚、開幕!

■感想
異世界ワーウルフに転生し、テイマーを目指すヒロインと絆を深めていくお話。他者と意志疎通できないのは辛いけどエフデが何となく理解してくれてるからそんなに悲愴感はない。表向きはお嬢様だけど裏では世知辛い事情があってお金が必要なエフデ、そりゃああんな変態と結婚するとか地獄だわ。貧乏なのに竜之助とエフデの生活はどこか楽しそうで微笑ましい。
パリピとむかりんのエピソードも良かった。竜之介の万能さやそれを狙う組織の存在が気になる。次は学園編なのかな?あとがきに哀愁が漂っていてとりあえず2巻出たら買うよ!とだけいっておく。

悪役令嬢に転生したけど、破局したはずのカタブツ王太子に溺愛されてます!?(★★★☆☆)

悪役令嬢に転生したけど、破局したはずのカタブツ王太子に溺愛されてます!? (蜜猫文庫)
■あらすじ
地味なOLから乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生したイザベラは、努力も空しくゲームヒロインに心を移した王太子に婚約破棄を言い渡された後、不審な男に拉致され娼館に売られてしまう。初めての客は顔をマスクで隠した男、ウィリアムだった。高貴な身分らしい彼はイザベラをからかいつつも優しく触れてくる。「試してみないか。きっと気持ち良くなれるはずだ」初めての快感に溺れた夜。ウィリアムはその後もイザベラを独占して!?

■感想
久しぶりに少女小説でR18を読みました。悪役令嬢もので婚約者だった王太子から婚約破棄を言い渡されるところからスタート。あれよあれよ言う間に誘拐されて身売りされた上に娼婦として娼館で働くことに。そこでまさかの王太子と出会って身体だけではなく心も通わせていく。
王道展開で分かりやすいストーリーなのでサクッと読みたい方にオススメ。婚約時代は互いに不器用で分かり合おうとしなかったイザベラ達、立場を変えてきちんとお互いを知ることで歩み寄っていく過程が微笑ましかったです。ウィリアムの行動が都合良すぎな気もしますが、イザベラが幸せならまぁいいか。