ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (★★★★☆)

 

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (ガガガ文庫)

 

 ■あらすじ

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。「真実」への向き合い方の差からすれ違ったまま、真冬はもうすぐ卒業を迎える。啓介は、ユリの提案でかつてのソ連強制収容所で起きた「クリスマスイブの奇跡」について調べることに。その過程で自分の変化を自覚し、真冬がいかに大切な人だったか理解する。「真相」を目の当たりにした啓介は、果たしてどう動くのか?(「ロシアン・ウィスキー・ホーリーナイト」)人気シリーズついに完結!切なく美しい余韻を残す「消えた恋人」「ジャナ研の憂鬱な事件簿」など三つの短編を収録。

 

■感想

シリーズ最終巻。関係を拗らせたままの啓介と真冬、真冬が卒業を迎えるまでに二人は仲直りができるのか。「真実」を追うことで辛い事実が掘り起こされる、啓介はそこから目をそむけることを一時は選んだが真冬の言葉や第1話の事件を通して考えを変えていく。啓介の確かな成長はもちろんのことユリが立ち直ったことも嬉しかった。

最終話は思った以上にあっさりな終わり方だったなと、でもこれがジャナ研らしいかな。啓介と真冬の関係もこれからが楽しみなので、機会があったら大学生編とかやってほしい。ビターな後味で学園ミステリとして大好きでした、次回作に期待。

 

華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き (★★★★☆)

◼あらすじ
「虚路は人から忘れられそうになったら、姿を現す」それは人に忘れられてしまったらその概念は消えてしまうからだ、と狭間堂から説明を受ける那由多。一方、浮世と華舞鬼町では拍子木の怪談と神隠しの事件が増えているという。「火の用心」のような声かけの後、聞こえる拍子木を打つ音。それを聞いた人が消えてしまうという話だ。しかし、那由多の姉・茜が行方不明になってしまう! 境界に閉じ込められたのか?那由多は狭間堂とともに、境界の中にある映画館を探す。そこで虚路の故意により祖父の形見だったカメラを壊してしまう!

◼感想
虚路による被害が拡大していく中で決断を迫られる狭間堂、一方で那由多は祖父の形見のカメラが壊れたことにより自信をなくしていく。今回は狭間堂と円の絆がメインであり、那由多にとっては自分の出来ることを模索する巻だったのではないかと。今まで素直じゃなかった円が狭間堂に対して自分の気持ちを打ち明けたり、諭したりと大分心の距離が縮まった様子。余話での二人のやり取りが好きです。
ポン助には随所で癒されました。那由多もきちんと自分が出来ることを考え、その上で自ら行動していて成長したなと実感。那由多もいずれ狭間堂のようになるのか、これからが楽しみです。

ゲーマーズ!DLC2(★★★★☆)

ゲーマーズ!DLC2 (ファンタジア文庫)

ゲーマーズ!DLC2 (ファンタジア文庫)

◼あらすじ
霧夜歩、ついに身バレ!? 炎上間近の錯綜追加コンテンツ! ついに出会ってしまった霧夜歩と天道花憐。雨野とのゲーム実況がばれると修羅場確定なのだが……音吹高校ゲーム部にご招待されてしまい!? さらに、新実況パートナー(わかめ)も登場して錯綜は加速する!

◼感想
確かに著者の言う通り読まなくても本編には差し支えない内容だが、霧夜歩の物語を読むことで更に本編を深く楽しむことができる。正に地雷の連続でさすがゲーマーズ(笑)霧夜の心の葛藤が丁寧に描かれていてちょっと切なくなった、雨野に対しての想いをああいう形で決着させるのがすごく霧夜らしい。アグリの霧夜への印象は的を射てますね。
終盤は本妻強し、といった感じ。なんかもう天道のヤンデレが半端ない。せめて表紙は霧夜で良かったのでは…?最後は楽しそうにゲームをする霧夜が見れたので満足です。

りゅうおうのおしごと!10 (★★★★☆)

◼あらすじ
竜王、遂に小学校の教壇に立つ!「澪たち、くじゅるー先生に鍛えてもらいたいんです!」小学生の将棋大会『なにわ王将戦』で優勝を目指すJS研。しかしあいの新しい担任にJSとの同居を問題視された八一は、自らの潔白を証明するため小学校で将棋の授業を受け持つことに。一方、女流名跡リーグ進出を目指すあいの前には謎の女流棋士が立ちはだかり、そして銀子は地獄の三段リーグで孤独な戦いを始めようとしていた―。それぞれの戦場で繰り広げられる魂の激突。決意と別離の第10巻!小さな背中に翼が生えたとき、天使は自らの力で羽摶き始める!!

◼感想
シリーズ10冊目。今回はJS研のメンバーがメイン。小学生ながらに女流名跡リーグ進出を目指すあい、JS研の他メンバーよりもどんどん力の差をつけていく中で澪と喧嘩してしまう。JS研の友情が試された巻でした。なにわ王将戦では敗北することで、または勝つことでそれぞれが成長していく姿に拍手。澪はよく頑張った!
あいVS岳滅鬼戦も熱かった。あいの更なる成長も良かったけど、将棋に対して諦めていた岳滅鬼が自分の気持ちに気付いて再起する様子に胸を打たれた。そんな感動から最後の銀子のターンで気持ちが急降下した。八一お願いだから助けてあげてくれ!

七つの魔剣が支配するII (★★★★☆)

 

七つの魔剣が支配するII (電撃文庫)
 

  ■あらすじ

学園内の事件を解決し、一目置かれる存在となったナナオとオリバー。しかしそれは、魔法使いとしての研鑽に励む同級生たちの、矜持と野心に火を点けた。誰が一年生でいちばん強いのか?その問いに結論を出すために、お互いのメダルを奪い合う、バトルロイヤルの開催が告げられる。ナナオやオリバーを倒すべく、次々と名乗りを上げる強者たち、そしてこの機に乗じる存在が動き出し―。一方、その盛り上がりをよそに、ある大きな変化がピートを襲う。彼の体に隠された秘密が明かされ、それは大きな可能性を少年にもたらすのだが―。運命の魔剣を巡る、至高の魔法×剣術バトルファンジー第2巻!

 

■感想

シリーズ2冊目。前回終盤の復讐劇から変わって今回は一年最強を決めるバトルロワイヤルがメイン。ナナオもそうだけどオリバーも強すぎて相手が可哀想なレベル。皆で工房を作って和気藹々している様子は楽しそうで何より、でもあとがきが不穏過ぎてある意味安心して読めない…。強そうだった某キャラもあっさり退場してしまったし。

ピートはオリバーが同室で本当に良かったね、「両極往来者」という体質に戸惑うピートに優しく接するオリバーがカッコいい。シェラもエルフのハーフであることが判明したし、ガイも何か特殊な能力をもっているのかな?とにかくピートが無事でありますように。

 

 

つるぎのかなた(★★★★☆)

 

つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

 

 ■あらすじ

好きじゃないんだ、剣道。…俺を斬れる奴、もういないから」かつて“最強”と呼ばれながら、その座を降りた少年がいた―。“御剣”の神童・悠。もう二度と剣は握らないと決めた彼はしかし、再び剣の道に舞い戻る。悠を変えたのは、初めて肩を並べる仲間たち、彼に惹かれる美しき『剣姫』吹雪、そして―孤高の頂でただひたすらに悠を追い続けていた、高校剣道界最強の男・快晴。二人が剣を交えた先で至るのは、約束の向こう、つるぎのかなた。「いくぞ悠。お前を斬るのは、この僕だ!」剣に全てを捧げ、覇を競う高校生たちの青春剣道物語、堂々開幕!第25回電撃小説大賞・金賞受賞作品。

 

■感想

電撃小説大賞・金賞受賞作品。久しぶりにスポ根小説を読んだような気がする。かつて神童と呼ばれながらも剣道をやめてしまった主人公・悠。そんな悠がライバルと再会したことから再び剣道に真剣に取り組む熱い展開が面白くて一気読みしてしまいました。どのキャラも個性的で読んでいると応援したくなります。

吹雪と史織のWヒロインとなっていますが、快晴がヒロインに思えて仕方ない(笑)悠が最終的にどちらを選ぶのかも気になりますね。個人的には悠と快晴の最後の試合が熱くて一番の見所でした。二人が仲良く写っている写真が微笑ましい。夏には新刊が刊行予定とのことなので楽しみです。

八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる(★★★★★)

八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)

八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)

◼あらすじ
女らしくなくても、舞が下手でも――「雲雀は僕にとって、理想の妻だよ」男が箏を奏で女が舞い、出来映えを競い合う宮廷行事「豊寿の舞」。鈴鳴は半ば強引に雲雀との参加を決める。しかし、昨年の勝者である鎬雨が何者かに襲われてしまう。賊として捕らわれたのは雲雀の部下・有宗で――?

◼感想
シリーズ2冊目。新キャラの凪雲が良い味出してましたね、小未苗に素直じゃないのが微笑ましい。中宮の策略により事態が悪化していく一方で、雲雀と鈴鳴の関係も危ぶまれますがお互いの気持ちを再確認して事件に立ち向かっていく二人は間違いなく最高の夫婦だと思います。「雲雀は僕にとって理想の妻だよ」という言葉に二人の絆がまた深まったんだなと実感しました。
ライバルである鎬雨と雲雀の関係も好きです。有宗と暮明も実は良いコンビ。黒幕の某キャラが排除されたので、今後雲雀も少しは過ごしやすくなるのかな?ぜひ続きを出してほしいです。