世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (★★★★☆)

◼あらすじ
戦後最大の未解決事件 <瀬戸内バスジャック事件> に巻き込まれた十年前のあの夏から、声を失った三好詠葉、十七歳。彼女は舞原杏が教壇に立つフリースクール――静鈴荘で傷を抱える子どもたちと学び、穏やかに暮らしていた。佐伯道成が教師として働きはじめるまでは……。詠葉の揺れる心に気付かぬまま、生徒の不登校を解決しようと奮闘する佐伯。彼が辿り着いた正解とは?

◼感想
今のところは謎だらけ、色々と伏線ははられているのでどう回収していくか楽しみです。そもそも犯人の目的は何だったのか、どうやって事件現場から逃げたのか。地味に幹久がなぜ「ひー君」なのかも気になります。詠葉の精神状態が佐伯の登場により益々安定したのかな、と思ったら最後に爆弾が投下されました。杏さん何か怖いわー。
裕貴の事件は無事に解決できて良かった、男同士の友情は尊い。私も佐伯同様皆の前で思いっきり糾弾してしまえ、と思いましたが…。でも裕貴や杏のやり方の方が賢いのでしょう。気になる終わり方だったので続きが待ち遠しい!

推理作家(僕)が探偵と暮らすわけ(★★★★☆)

彼ほど個性的な人間にお目にかかったことはない。同居人の凛堂である。人目を惹く美貌ながら、生活破綻者。極めつけはその仕事で、難事件解決専門の探偵だと嘯くのだ。僕は駆け出しの推理作家だが、まさか本物の探偵に出会うとは。行動は自由奔放。奇妙な言動には唖然とさせられる。だがその驚愕の推理ときたら、とびきり最高なのだ。「事実は小説より奇なり」を地でいく話。僕の書く探偵物語

売れない駆け出し作家と変人だけど天才的な推理力を持つ探偵というよくある組み合わせ。主人公・月瀬は探偵をしている凛堂と共に遭遇した事件を下敷きに小説をかいていく。さすが久住先生だけあってミステリ部分もしっかりしていて安定した面白さでした。第一話は月瀬が犯人にされそうだったので凛堂の推理する場面は気持ちよく読めました。
最後がゾッとするような終わり方なので続きがあること前提なのかな?そして確かにホームズっぽい、お兄さんも登場してほしいですね。またこのコンビがみたいので続きをぜひ!

ようこそ実力至上主義の教室へ10 (★★★★★)

 

 季節は春、3月を迎えた高度育成高校の1年生。だが3学期末試験時点で歴史上初めて退学者を出さなかった結果、1年の全クラスに追加の特別試験『クラス内投票』が実施されることとなった。それは生徒自身が退学者を選ぶ非情な試験。誰かが退学しなければならない。その現実を前に冷静な平田の声も届かずCクラスは分裂。疑心暗鬼が広がる中、裏切り者も現れ最大の危機を迎える。一方他クラスの状況はAクラスが早々と退学者を決め、Dクラスは龍園が退学濃厚。そんな状況の中、Bクラス一之瀬はクラスメイトを救うため南雲生徒会長とある取引をしようとしていた。だがその条件は一之瀬が南雲と交際するというもので―!?

シリーズ10冊目。今まで退学者を出さなかったことから特別試験「クラス内投票」が追加されることに。精神的にダメージが大きそうな試験でしたが、綾小路は器用に暗躍していてさすがでした。D組とC組の退学者はいいとして、A組の退学者は可哀相だったなと。坂柳が色々と関わっていた様子。
平田の今後が心配…。綾小路の父親も介入してきて、坂柳との勝負は次回へ持ち越し。綾小路が龍園を助けた理由は「何となく退学させたくなかった」とのことですが、悪友みたいな関係の二人が結構好きだったりします。1年の最終試験編も楽しみです。

双血の墓碑銘(★★★★☆)

 

双血の墓碑銘 (ガガガ文庫)

双血の墓碑銘 (ガガガ文庫)

 

 1853年。日本は“吸血鬼”が支配する欧米諸国によって開国を迫られていた。元新選組隊士の隼人は、仲間の裏切りによって命を落としかけるが、そこに「記憶のない」吸血種の少女・柩が現れる。復讐に燃える隼人は、人間であることを捨て、柩の眷属となることを選ぶ。時を同じくして、欧米からは吸血種の英雄達が集結。“墓碑銘”という異能を操り、隼人と柩を追い詰める。さらに二人の前には、沖田総司やジョン万次郎などのクセ者が次々登場し、物語は思わぬ方向に転がり始める…。淫靡で兇悪な異能維新、ここに開幕!

吸血鬼×幕末で新シリーズスタート。まだ序章でこれからどんどん面白くなりそう。新撰組隊士の隼人は仲間の裏切りによって瀕死になってしまったところを吸血鬼の少女・柩に助けられる。記憶のない柩に関してはまだ謎だらけ。柩の眷属になっても侍としての誇りを捨てずに柩を命がけで守る隼人にはぜひ裏切者を成敗してほしい。
ジョン万次郎や沖田総司など次々と歴史上の人物が登場していく。沖田さんマジで強い、吸血鬼になったら末恐ろしい。隼人にとっては大切な姉貴分なんだろうな。最後に登場したあの人が次回のキーポイントっぽい、死んでないってことはやはり吸血鬼になったのかな?

ナイトメアはもう見ない: 夢視捜査官と顔のない男(★★★★☆)

夢で他人の記憶を見る異能を持つ“夢視者”の笹川硝子は、特殊捜査官として京都府警に勤めていた。遺体に触れるとその者の死の瞬間を追体験できる能力を活かし、事件を解決に導いている。そんな中、同じ特殊捜査官で先輩でもあった川上未和が、硝子に「ナイトメアはもう見ない」という謎のメッセージを残して行方不明になってしまう。さらに未和の汚職疑惑が発覚し…?2018年ノベル大賞佳作受賞!

遺体に触れることで他人の記憶を夢で見ることのできる特殊捜査官・笹川硝子が主人公。挿絵がまさかの星野桂先生で気合い入ってますね。親友が死んだり、大事な人が事件に関わっていたりと様々な困難が硝子を襲いますが持前のガッツで前へ進んでいく彼女が眩しかったです。あきの存在はやっぱりな~といった感じでした。硝子の気持ちを上手くスルーしてましたが最後は少し希望が持てそうな締めくくりで嬉しかったです。
硝子は硝子なりに一生犯人と向き合っていくんだろうな。二人の間には確かに愛情が感じられたので余計に残念な結末でした。難しそうだけど続きがあるなら読みたいです。

美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!5(★★★★☆)

ミリオンセラーを目指す新人ラノベ編集者の清純は、業界最強のカリスマ編集者・鳴海と出会う。新レーベル創設を宣言した彼から、天花、ひよこ、ソレイユ…自身が担当するクリエイターへ次々と引き抜きの声がかかり、焦る清純。さらに「究極の創作物」を何よりも優先する鳴海の影響で、天花は全てを捨てて創作にのめり込む異常事態に!?天花を救うため、清純はもう一度だけ小説を書く決意をするが―。「もう、俺達の間に言葉はいらない。ここからは、文字で語るのみだ」燃えよクリエイター魂!熱血お仕事ラブコメ感動の第5巻!

シリーズ5冊目にして完結。大好きなシリーズだっただけに駆け足気味で終わってしまったのが悔やまれる。カリスマ編集者・鳴海の誘いにより天花、ソレイユなどが新レーベルに引き抜かれていく。そんな中で小説家として必要とされた清純だったが、編集者としての道を進み続けることに。清純は最後まで鈍いままで、ヤキモキする天花が可愛かったです。
この物語はどのヒロインも魅力的で個人的にはソレイユ推しでした。次点でひよこ!鳴海の編集者としての執念には賛成できないけど、彼が立ち上げたレーベルが実際にあったら注目してしまうだろうなぁ。天花も他のキャラもまだまだ成長していくと思うので、チャンスがあったらまた続きをかいてほしいです。

今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います(★★★★☆)

今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います (集英社オレンジ文庫)

今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います (集英社オレンジ文庫)

あこがれの会社に入社した玲美。だが些細なことがきっかけで直属の上司・岸本の執拗な嫌がらせが始まった。社内では優秀な社員として通っている岸本に逆らうことはできない。疲弊しきった玲美は、彼を殺したいと夢想するようになる。こいつの頭をぐしゃりと潰してやれたら――。

物騒なタイトルにつられて購入。私も仕事で悩んでいるが、この物語よりはずっとマシ。全体的にホラーテイストでした。岸本を殺した時の描写がリアル、玲美の殴り殺しの妄想は共感できる。最後はすごく気になる終り方でした、やっぱりあの神社のおかげなのか。2話目の「天井の梁」は唯一スカッとした終わり方、麻里子が頑張り屋だったので田舎の母に弱音を吐く場面はホロリときた。
3話の「引き継がれ書」は一番ホラー色が強かった。あんな奴がいる部署に左遷されたくない…。いっそのことあの豚も岸本と同じ末路をたどれば良かったのに。辞める、という選択も大事だよね。