そして僕らはいなくなる(★★★★☆)

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

優等生の「着ぐるみ」をかぶって生活する高校生の永岡宗也。帰宅の遅い幼なじみを捜しに出かけ事故に遭った宗也は、断片的な幻覚に襲われるようになる。少女の遺体を解体するーーまるで殺人犯の目を借りたような光景。これは現実に起こったバラバラ殺人なのか? クラスで孤立している志緒と共に謎を追うが……。誰もが持つ孤独な心に共鳴する、残酷な青春と救済のミステリ。

冒頭から始まる「彼」による独白に不穏な空気を感じながらストーリー展開していく。優等生の着ぐるみを着て優等生を装っている主人公・宗也、本心では町にミサイルが落ちないかなどと物騒なことを考えつつもいじめを受けている志緒を放っておけなかったりと決して冷徹というわけではない。友人の川瀬あたりは宗也のそういった裏表のある性格を見抜いた上で付き合っているような気がする。二人の漫才のような会話が好き。
真相に関しては二人の間に何が起こって悲劇に繋がったのだろうか。そこら辺はぼかしてありましたが、宗也が推測していた説が正しいならゾッとします。これからは志緒と少しずつ仲良くなってほしいです。