
- 作者: 三木笙子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/07/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
穏やかで少し切なさの残る優しいお話でした。やっぱりこの方が書かれる作品が好きだなと再認識。ミステリ部分は分かりやすくて良かった。亡き友の後任でイタリアで日本語講師として働く誠次郎が主人公。ヴェネチアの町並の描写が素敵、そこに住む人々も温かい人が多いですね。前任の清人は周囲から絶大な信頼を寄せられていた人物。ルカも懐いていたようで、後半で明かされるルカの心境が切ない。誠次郎へ段々と心を開くようになっていく内に、清人との思い出を忘れてしまうんではないかと不安に陥るルカ。そんなルカを優しく包み込むように諭す誠次郎が兄のようで微笑ましかった。
最後の清人の言葉が奥深い。清人の誠次郎への思いがわかって良かった。清人は幸せだった、誠次郎が言うようにいつかルカもそう思える日がくるといいな。