花舞う里(★★★★☆)

花舞う里

花舞う里

親友の死に責任を感じた潤は都会から母親の故郷である愛知県の山奥・澄川に移り住む。そこで「花祭り」という伝統神楽の存在を知り、練習することになるが…というお話。
表紙のイラストがとても綺麗。目まぐるしい都会と違い、のんびりとした田舎である澄川に馴染めない潤。最初の一歩が踏み出せなかった潤がクラスメイトや両親が抱える悩みを知り、そして神楽を通して自分の苦しみと向き合い、成長していく姿はとても美しかったです。
悩みとは無縁そうな明るい周は実は父親に虐待されて澄川に来たという重い事情を持っている。それでも自分の舞う姿を家族に見てもらいたい、と願う周の純粋さはとても素敵だと思う。
最後の「冬馬……、会いたいよ」という言葉は切ないけれど、潤がやっと我慢していた気持ちを吐き出せたかと思うと感慨深いです。潤と葵の恋の行方もちょっと気になりました。潤が中学卒業後も澄川に残る選択をしてくれたのは、個人的に嬉しかったです。