プシュケの涙(★★★★☆)

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)

とても切なくて終わった後もしばらく物語の余韻に浸っていました。表紙がとても綺麗、落ちていく吉野を由良が助けようとしている様子は由良が本当にしたかったことを反映させているようでもどかしい気持ちにもさせます。
前半は吉野彼方が自殺した原因を調べている由良に無理矢理連れ出される形で目撃者の榎戸川が共に行動するという内容。ここで吉野彼方の死の真相が明らかになる。自分勝手で理不尽な理由から吉野彼方は死んでしまう。榎戸川までも巻き込んだ上に吉野彼方の死の原因を作った張本人が憎い。なんでそんなに自分勝手なの?
そして後半はとある少女と由良の出会いから仲良くなるまで。なんでそのエピソード?と思ったけど、その少女は由良に偽名を使っていて最後に吉野彼方であったことが明かされる。二人の何気ない触れ合いが本当に微笑ましくて、それが近い内に終わってしまうと思うと苦しくなる。唐突にそして理不尽に壊されてしまった二人の時間はずっと色褪せることはないだろう。