黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 (★★★★☆)

黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 (講談社X文庫)

黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 (講談社X文庫)

あらすじと表紙に惹かれて購入。帯のコメントが有栖川先生でテンション上がった。でもなぜ少女小説に有栖川先生?と思ったら、あとがきによると作者さんは有栖川先生に指導を受けていたとか。なんか作家アリスシリーズも読み直したくなったなと考えつつ本書を読みました。
純粋で真面目な主人公・隼人が可愛いかった、周囲から子供扱いされるのを嫌がっているけどそれは愛されてる証拠(笑)満州やら貴族院やらの単語が出てきたり、何より隼人と綾城の決してもう一緒の道を進むことのできない友情関係は戦争中の物騒な時代を反映させていてストーリーに厚みをもたせていました。
後藤の出自については大方予想はついていましたが、それが仇となって死ぬまで懺悔し続けていたのは悲しいなと。小須賀の最後の子爵への糾弾で初めて人間らしい一面が見れたような気がします。子爵については残された子供を育てながら穏やかに余生を過ごしてほしいです。はやくも10月にシリーズ二冊目が発売されるようなので楽しみです。