悪役貴族として必要なそれ 1

■感想
小説『ライナナ国物語』のラスボス、”悪役侯爵”アブソリュート・アークに生まれ変わってしまった主人公。勇者に倒されるのを回避する為に悪の道を極めることに。
大好きなタイプの主人公であっという間に読了。基本的にダークヒーローなんだけど、時折みせるアークの分かりづらい優しさに周囲が気付き始めて絆を深めていく過程が心に刺さりました。個人的には終盤のミストとの友情エピソードがお気に入りです。
そして最後に演習がやっと終わったと思ったらアブソリュートがピンチになっていて急展開、続きが待ち遠しい。

異世界刀匠の魔剣製作ぐらし

■感想

実は凄腕だが自身の腕前に自覚がないモグリの鍛冶師・ルッツ、彼の作る刀に人々は魅せられ、そして狂っていく。そんな魔剣を生み出した男の物語。

ルッツの作る刀に魅入られながらも踏み止まる人、堕ちていく人と結末は様々。自分の欲に忠実ながらもどこか憎めないゲルハルトがお気に入り、ルッツの刀を前にした時のテンションが面白かった。

ヒロイン・クラウディアとはかなり早目に大人の関係になっていたので、焦れったい関係が好きな私としては物足りなさも感じましたが二人の夫婦漫才みたいな掛け合いは読みやすかったです。全体的に手堅くまとまっているな、という印象。

グラン&グルメ 1 ~器用貧乏な転生勇者が始める辺境スローライフ~

■感想

凄く面白かった。魔物と戦うよりも薬草や獲物を地道に採取してコレクションしたり、何かを作ったりする方が好きなグランの気持ちに共感できる。飯テロ小説としても良作だけど、グランの自分の好きな事に対しての暴走気味なところやアベルのグランへの執着心が個人的にヒットしてキャラ小説としても魅力的でした。

グランに懐いているシャモアの正体も気になるところ。グランの優秀さが周囲に悪用されないように裏で手をまわしているアベルさん素敵です。グランにはこれからものびのびとスローライフを楽しんでほしい。続きも早く読みたいです、なろうに掲載されてるのを読んでしまうか悩みます。

太っちょ貴族は迷宮でワルツを踊る 1

■感想

家から追い出された貴族の三男・ミトロフは食費を稼ぐ為に冒険者として迷宮に挑むことに。

チート系ではなくじっくりと主人公達が強くなっていく展開が好み。食べることが大好きでいざという時に頼りになるミトロフとしっかり者のエルフ・グラシエの安定したコンビも良かったですが、途中参加の訳ありな骸骨・カヌレも可愛らしくて和みました。

始終割りと淡々としていたミトロフが、終盤の父親との再会できっぱりと決別していたのが潔くてカッコよかったです。暴食することで父親に反抗しようとしていたなんて辛すぎる···。

早くグラシエが戻ってくるといいね!

悪役御曹司の勘違い聖者生活 ~二度目の人生はやりたい放題したいだけなのに~

■感想

前世では人の良さから割を食ってばかりだった主人公が、生まれ変わった現世では悪徳領主となって好き放題生きる為に行動していくお話。

ただ単にハーレムを作りたいがためにヒロインズに近づいて問題を解決していくわけですが、それが周囲から善行と見なされて勘違いされていくオウガ。勘違いコメディの醍醐味が味わえる一冊となっていて、軽く読めるのもいい感じ。

巨乳大好きでハーレム願望持ちの浮ついたところがあるものの、努力家で偽悪的な部分で上手く中和されている。最後には国王からも気に入られているので、ますます大変な学園生活になりそう。

レモンと殺人鬼

■感想

幼い頃に通り魔に父を殺され、それがきっかけで母親は失踪してしまう。しまいには妹の妃奈が遺体で発見され、生前保険金殺人をしたという疑惑をかけられてしまう。

美桜の常に何かに怯えているような鬱屈した雰囲気が延々と続き、心が圧迫されそうだった。あんなトラウマを幼い頃に植え付けられたらそりゃあ仕方ない。あの回想シーンはあくまで表側だけをあの子の視点で映していて、歪な家族関係が上手く省かれていたのが秀逸だった。

終盤の美桜の覚醒が凄まじくて、過去のトラウマを武器にしてふっきれたのが何とも言えない後味。個人的に犯人は予想出来なかったので最後までハラハラしながら読めました。 

さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう 元庶民の私が挑む頭脳戦

■感想
主人公・澪は難病の妹を救う為に財閥の令嬢・紫月の代わりに悪役令嬢を演じることに。
悪役令嬢ものが溢れている昨今にゲームの世界だと気づいているのが主人公本人ではなく他のキャラだという設定が新鮮できちんと差別化されているのが良かった。
澪の演技力は素晴らしいものの、やはり持ち前の優しさが滲み出てしまい思わぬ方向へストーリーが進んでしまう。嫌われなくてはいけない乃々歌からはこっそり慕われ、ヒーローの琉煌からは辛い心情を理解されている。この状況でどう突き進んでいくのか、これからが楽しみな一冊です。