レモンと殺人鬼

■感想

幼い頃に通り魔に父を殺され、それがきっかけで母親は失踪してしまう。しまいには妹の妃奈が遺体で発見され、生前保険金殺人をしたという疑惑をかけられてしまう。

美桜の常に何かに怯えているような鬱屈した雰囲気が延々と続き、心が圧迫されそうだった。あんなトラウマを幼い頃に植え付けられたらそりゃあ仕方ない。あの回想シーンはあくまで表側だけをあの子の視点で映していて、歪な家族関係が上手く省かれていたのが秀逸だった。

終盤の美桜の覚醒が凄まじくて、過去のトラウマを武器にしてふっきれたのが何とも言えない後味。個人的に犯人は予想出来なかったので最後までハラハラしながら読めました。