スクールカースト殺人教室 リベンジ (★★★★☆)

■感想
あいつらが堕ちるところ見たくない? 生徒たちの心に深い傷を残した担任殺害事件から数ヶ月。一年D組はなんとか日常を取り戻しつつあった。だが、かつてスクールカースト最上位に君臨し、いじめを首謀した元「女王」は、退学させられながらも、何一つ反省していなかった。クラスに残った小さな禍根を利用され、生徒たちは徐々に引き裂かれていく。そして悪意が最高潮になった時、新たな惨劇が──。衝撃の新章突入。

■感想
あの1年D組で再び復讐という名の惨劇が起こる。本当に醜悪な展開ばかりなんだけど不思議とページをめくる手が止まらない作品。まともなキャラが泉田先生なだけに最後の展開が悲しい。そしてあの子の自殺も…。牛尾が見事に更正してたけどヒーロー扱いされるのは違う気がするなぁ。
底辺キャラが混乱の下地を作って、和木が大事にして、でも結局は黒幕のあいつに踊らされたっていう大筋。今回は磯神の敗北、柳との触合いで彼女の人間らしい部分が見れて新鮮でした。神なんて名乗らずに平和に暮らしてほしい。黒幕のあいつにはさっさと天罰がくだればいいのに、そして南は目標にしている割には弱者にまったく寄り添えてないんだが…。

1LDK、そして2JK。III ~夏が始まる。二人はきっと、少し大人になる。~ (★★★★☆)

■あらすじ
「私、ぶっちゃけ夏休みの楽しい過ごし方とか知らないんだよね」(奏音)「あ、私もです」(ひまり)―。26才サラリーマンと2JKの奇妙な共同生活は、夏を迎えようとしていた。心に抱えた小さな綻びを、そっと抱きかかえるように過ごす2人。それを見守る駒村は、せめて夏休みに楽しい思い出を作ろうと、3人だけでキャンプに行くことを提案する。「あんなに笑ったのは久しぶりだったな―」。楽しいひとときを過ごせたのも束の間、彼女たちの運命を大きく動かす再会がすぐそこに待ち受けていることに、誰も気がついていなかった―。話題沸騰、“いまいちばん先が気になる”青春ラブコメが夏休み編に突入!!

■感想
シリーズ3冊目。キャンプや花火など夏の醍醐味であるイベントを楽しむ3人の姿が眩しい。1巻では2人のうっすらと芽生えた恋心に気付きながらも無視する選択をした和輝。しかし3人での共同生活がこのまま続いてほしいと思ってしまったり、友梨からの告白をきっかけに2人を女性として少しずつ意識していく等気持ちが揺れていく。
また奏の母親が帰ってきたり、ひまりが遂に知り合いに出会ってしまうなどクライマックスにグッと近づくような展開が続いていく。3人が自分の今の気持ちにどんな決着をつけるのか楽しみ。和輝は特に誰も選ばずに大団円で終わるのが無難かな。

ホラー女優が天才子役に転生しました: ~今度こそハリウッドを目指します!~(★★★★★)

■あらすじ
貧乏育ちの苦労人ホラー女優の鶇(30歳。努力の甲斐あって演技力はピカイチ)が、自動車事故で即死。20年後に転生した先は銀髪ハーフの超美少女つぐみ(5歳)で、ドのつくお金持ち令嬢だった!つぐみの両親はつぐみに「注入された」演技の才能をすぐさま見抜き、テレビドラマの子役オーディションへ飛び入り参加させる。天使そのもののつぐみの身体を得た実力派ホラー女優鶇は、その奇跡に感謝し、そして誓った。「今度こそハリウッドを目指します!」世界がひれ伏す大天才女優(5歳)がここに誕生!!

■感想
ホラー女優として活躍していた鶫が事故死、しかし何故か目覚めると銀髪美少女のお嬢様になっていた…というお話。すごく面白くて一気読みでした。鶫の仕事に対する情熱が素晴らしい、そんな彼女に感化されて影響を受けた人物がつぐみに何かを感じるという展開も良かった。鶫が生きていたら柿沼さんとのラブもあったのかな(ボソッ)
3人娘では凛が一番好き、マイペースなところが可愛い。兄の虹も生意気で可愛いですな。凛パパを誘惑している場面はさすがにアウトのような…(笑) これからつぐみがどんな風にスターの階段を登っていくのか楽しみです。

目を見て話せない(★★★★☆)

目を見て話せない

目を見て話せない

  • 作者:似鳥 鶏
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本
■あらすじ
千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの“コミュ障”ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真実…大学内外で起きる事件をひとつずつ解決していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていって―。

■感想
コミュ障だけど推理が得意な大学生・藤村京が日常の謎を解いていく短編集。同じコミュ障として頷ける部分も多くて面白かった。なぜ藤村がコミュ障になったかは終盤で語られていて、最終的に殻を破って堂々と推理する姿に藤村の成長を感じました。「どうでもいい相手に陰で笑われたとして一体何が困るだろうか」という言葉には自分も勇気を貰った気がします。
一番印象に残ったのは最終話、容疑者サイドがクズ過ぎて皆木さんがキレるのも分かる。ただの窃盗がここまで話が大きくなるとは…。正義感の強い加越さん、社交的な里中、クールだけど腕っ節が強い皆木さん、藤村を支える仲間も魅力的でした。ぜひ続きをやってほしい。

スパイ教室03 《忘我》のアネット(★★★★☆)

■あらすじ
失踪した4人の少女。最悪の結末は――。
暗殺者《屍》の任務後、選抜組の少女たちが出会ったのは、記憶喪失で出自不明の少女――アネットの母。感動の再会に盛り上がる一同だが、それはチームを分断する残酷な運命のはじまりだった。

■感想
シリーズ3冊目。今回は忘我のアネットがメイン。屍の任務後に選抜組が出会ったのは記憶喪失で出自不明のアネットの母を名乗る女性。感動の再会の裏では相変わらず様々な策略が飛び交っていて選抜組を困惑させる。リーダーとしてチームをまとめようと必死になるティア、彼女の決して残酷になりきれないところは容姿と同じく美しい。優秀だけど皆とは馴れ合おうとはしないモニカの隠された恋心も良かった。
チームのメンバーに欠けているのは非情になりきれない残酷さ、アネットの「忘我」の意味がそういうものだとは気づかなかった。某キャラは清々しいまでにアネットに復讐されていたので良しとします。次回で第一部完結とのこと、楽しみです。

豚のレバーは加熱しろ(2回目)(★★★★☆)

■あらすじ
剣と魔法の国に再び豚として参上!しかし肝心のジェスがいない。なぜだ!ジェスたそをブヒブヒ舐め回したい一心でやってきたというのに…!…失礼、違うんだ。俺が少し離れている間に、闇社会の連中が王朝に反旗を翻して、この国は今大変なことになっているらしい。俺がここに再臨したのは、そんななかイェスマ解放を目指し戦うイケメン狩人ノットに協力し、残酷な運命を課されたイェスマたちを救うため。べ、別に、ジェスへのガチ恋が溢れて会いたくて会いたくて仕方がないだなんて、これっぽっちも思ってないからな!「くそどーてーさんも、私と同じなんですね。いつか私もノットさんに…」こらセレス、地の文を読むんじゃない。あとその呼び方、どうにかならないか?

■感想
シリーズ2冊目。再び異世界に向かった主人公、しかし異世界は以前よりも混迷していた。仲間の黒豚がロリコンなせいか変態度が上がってる(笑)記憶を封じられたジェスが必死に思い出そうとしているのがもどかしかった、無事に思い出してからの再会にジーンときた。「もうどこへも行かないでください」というジェスの言葉に豚さんはどう答えるのだろうか。
そして同盟を結んだ王朝側と解放軍、お互い信用はしてないと思うので前途多難かと思いきや最後の展開で一筋の光が見えてきた。健気なセレスも少しは報われてほしいです。次回も楽しみ。

平安・陰陽うた恋ひ小町 言霊の陰陽師(★★★★☆)

■あらすじ
平安の世。今上帝の女御の歌会でひときわ称賛を集める女房がいた。彼女は、袖にした貴族の悪夢、恋煩いの相手探しなど、後宮の女たちの相談役であり、恋歌の名手・小野小町。しかし、ひと筋縄ではいかない恋物語の裏には、あやかしどもが巣喰っていて―。承和の変の謀反から二年。いまだ権力争いの残り火に翻弄される後宮で、言霊をあやつる異才の陰陽師が、難事も怪異も解き明かす。

■感想
謎多き美女・小野小町。しかしその実体は言霊をあやつり、後宮を守る陰陽師だった。設定が斬新で一気読み。恋歌の名手といわれているが小町自身は自分に与えられた使命に忠実で昔の恋を引きずっている。在原業平との掛け合いが面白かったので業平の努力が報われるといいな。
特に終盤の鬼に対して小町の言葉は胸に染み込んできて、一つ一つの言葉を大切にしている彼女だからこそいえたんだろうなと。小町が背負っているものが大きすぎるので彼女の使命を知った業平にはこれからも小町を支えてほしい。