目を見て話せない(★★★★☆)

目を見て話せない

目を見て話せない

  • 作者:似鳥 鶏
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本
■あらすじ
千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの“コミュ障”ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真実…大学内外で起きる事件をひとつずつ解決していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていって―。

■感想
コミュ障だけど推理が得意な大学生・藤村京が日常の謎を解いていく短編集。同じコミュ障として頷ける部分も多くて面白かった。なぜ藤村がコミュ障になったかは終盤で語られていて、最終的に殻を破って堂々と推理する姿に藤村の成長を感じました。「どうでもいい相手に陰で笑われたとして一体何が困るだろうか」という言葉には自分も勇気を貰った気がします。
一番印象に残ったのは最終話、容疑者サイドがクズ過ぎて皆木さんがキレるのも分かる。ただの窃盗がここまで話が大きくなるとは…。正義感の強い加越さん、社交的な里中、クールだけど腕っ節が強い皆木さん、藤村を支える仲間も魅力的でした。ぜひ続きをやってほしい。