子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (★★★★☆)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)
◼あらすじ
部活はなし、勉強も授業中に全力集中、学校での出来事はどこか他人事―高校生・新垣日向の放課後は両親の手助けと最愛の妹・蕾の育児のためにある。…学年のヒロイン・芹沢悠里が彼の子守り事情を知るまでは。兄妹仲の良さと学校とは違う活き活きとした日向に魅了された悠里。放課後は新垣家に行き、週末は3人でデート。さらに天然陽キャ女子・恵那唯やクール系美少女の後輩・上月日和も絡んできて、日向の日常は一気に賑やかに!「私は日向君に楽しい学校生活を送ってほしい」「“師匠”って呼ぶね!」「好きです、先輩のこと…」帰宅早い系男子のほのぼの学園ラブコメ!

◼感想
シリーズ1冊目、ずっと気になっていてやっと読了。学校が終われば妹の育児に没頭する高校生が主人公。妹のことを最優先に考えている日向、既に立派なイクメンにしか見えない。そんな日向に学校生活も楽しんでほしいと思う悠里が優しい子で理想的なヒロイン。日向と悠里だけではなく二人の友達も良い奴なので全体的にほのぼの。何より妹の蕾が可愛らしい、日向が可愛がるのも納得。
次回からは幼馴染であり後輩の日和がグイグイと出てくるのでしょうか。先に告白したのは日和だし両思いだったんだろうなぁ…と思うと最終的にどうなるかはまだよめませんね。2巻も読みたいと思います。

TAS 特別師弟捜査員(★★★★☆)

TAS 特別師弟捜査員
◼あらすじ
「ねえ。慎也くん、放課後ヒマだったりする?」楓から突然声をかけられた慎也は驚いた。楓は学園のアイドルで、自分とは何の接点もないからだ。用件を言わず立ち去る楓を不審に思いながらも、声をかけられたことで慎也の胸は高鳴っていた。彼女が校舎の3階から転落死するまでは―。学校は騒然となり、さらに楓が麻薬常習者だったという噂が流れる。警察の聞き取り調査が始まった。そこに現れたのは、慎也の従兄弟で刑事の公彦。公彦は、転落死の真相を探るため、教育実習生として学園に潜入することを決める。一方の慎也も、楓が所属していた演劇部に入部し、楓の周辺人物に接触を図る。なぜ楓は、慎也を呼び出したのか―。慎也と公彦は、真相解明に挑む。“どんでん返しの帝王”が新たに仕掛けるバディ×学園ミステリ!

◼感想
学園のマドンナである楓が突如転落死をしてしまう。平凡な少年・慎也は従弟で刑事の公彦と共に深く事件に関わっていく。学園の皆から憧れの存在だった楓、だけどそう思われることは本当に彼女が望んでいたのか。最初に死んだ楓を中心に人間関係が交錯していきたくさんの悲劇が生まれてしまう。
主人公・慎也がこの事件を通して得たものも大切だけど何より失ったものが多すぎて今後が心配。結末に気付いていて慎也に後始末をさせるとか公彦は容赦ないな、でも自分の手で終わらせなかったらきっと慎也は後悔するだろうからこれで良かったのか。強い子になってくれ。

ゆびきりげんまん(★★★★☆)

ゆびきりげんまん (LINE文庫)
◼あらすじ
両親が無理心中事件を起こしたことをきっかけに、叔母家族と暮らしはじめた家親佳奈子。彼女が転入したのは、一年前に世間を大きく騒がせた“女子高生指切り殺人事件”の被害者が通っていた高校だった。殺された女子高生の遺体はホテルの一室で発見され、その小指は切り落とされていたという。いまだ犯人が捕まらないなか、佳奈子の周囲で女子高生の小指が切断される傷害事件が続き、ついには佳奈子の級友がホテルで殺されてしまう事態に。事件の裏に女子高生援助交際組織の存在が浮かび上がるが…。

◼感想
両親が無理心中を起こしたことがきっかけで叔母家族と暮らし始めた佳奈子。一年前に世間を騒がせた指切り殺人事件が再び起こり、巻き込まれていく。両親の事件のせいで色々なことに対して諦めていた佳奈子、そんな彼女を温かく迎えてくれた叔母家族が素敵でした。特に翔太が良い子…!ミステリアスな拓也から目が離せなかった、最後の真実が重すぎて佳奈子がそこら辺をカバーしてくれたらなと。
ストーリーの構成自体はネジ曲がっていて面白かった。後味は悪かったけど、佳奈子が成長したという意味ではハッピーエンドかな。菜摘みたいな友達がほしい…。佳奈子の未来に幸あれ。

りゅうおうのおしごと! 11(★★★★☆)

りゅうおうのおしごと!11 (GA文庫)
◼あらすじ
「私を殺して……」奨励会三段リーグで三連敗を喫し心が折れた銀子は、八一に懇願する。「俺が連れて行ってあげますよ。絶対に死ねる場所へ」こうして二人は将棋から逃げた。それは同時に、なぜ将棋を指すのか問い直す旅でもあり――
なぜ、八一は銀子を『姉弟子』と呼ぶようになったのか?なぜ、銀子は女流タイトルを求めたのか?八一と銀子の出会いと修業時代の日々、そして《浪速の白雪姫》に隠された最大の秘密が遂に明かされる
告白の第11巻!将棋の神が定めし残酷な運命は、誰に微笑むのか?

◼感想
シリーズ11冊目。三段リーグで三連敗を喫して心が引き裂かれた銀子、八一はそんな銀子をとある場所へと連れていく。二人の出会いと現在まで、まるごと銀子尽くしの巻でした。八一の「銀子ちゃん」呼びが微笑ましい。お互いの気持ちも確認できたし、恋愛的な意味では決着が着いたのかな。それともあい達にもチャンスがあるのか。
創多との戦いは正に熱戦で、生意気な奴だったので銀子が勝ってくれてスカッとした。ようやく将棋星人の棲む星にたどり着いたようでひと安心。水面下で色々と不穏な動きもあるので次回も見逃せません。

アヤカシ・ヴァリエイション(★★★★☆)

アヤカシ・ヴァリエイション (LINE文庫)
◼あらすじ
美貌の青年、真継晴の周囲で繰り返し起きる悲惨な事故。それは晴の祖父、座倉統十郎が持つ骨董品「匣」の相続を争う、親族たちの謀略だった。命を狙われた晴の護衛として雇われたのは、横浜山手に店を構えるという、骨董品店「杠屋(あかなしや)」の面々。彼らは、いわくつきの古道具「特殊骨董」の始末を請け負う特殊骨董処理業者であり、彼ら自身もまた特殊骨董の化身――付喪神なのだという。呪われた「匣」の秘密と晴の過去を知るために、座倉家に乗りこんだ晴と杠屋の妖かしたちだが…。

◼感想
LINE文庫創刊ということで試しに1冊購入。ベテランの作家さんなだけあって手堅くまとめられていて面白かったです。周囲で悲惨な事故が起きる美貌の青年・晴と刀剣の付喪神・和泉がコンビ。豪快そうに見えて人を殺したくないという繊細な気持ちを抱える和泉をゆっくりと晴が理解していく過程が微笑ましい。真緒達も付き合いやすそうで良かったね。少しずつ良いコンビになっていくといいな。
とりあえず座倉統十郎は滅べばいいと思う。というか座倉家ロクな奴がいない。晴の母親ってあの人なのか…?これからは 杠屋の仲間と一緒に自分の力を生かしていってほしいです。

異世界落語 6 (★★★★☆)

異世界落語 6 (ヒーロー文庫)
◼あらすじ
現代の噺家・楽々亭一福は、マドカピア王国でも変わらずに落語を披露し続けていた。一福を気に入っているモーニングラウンド王は、正式に宮廷ハナシカにならないか、と持ち掛けるのだが、一福はその誘いを断ってしまう。「自分は落語をやるだけ」というスタンスを頑なに崩さない一福に疑問を抱いたアヤメは、闇魔法を使って寝ている一福の過去を覗き見る。そこに見たのは師匠の七福や弟弟子の多ら福とともに、平和な世界で落語を披露している一福の姿だった。しかし、一福の幼馴染の女性、小春の婚約を巡って、事態は想定外の方向に動いていき―。

◼感想
シリーズ6冊目。自分には落語だけ、周囲を落語で魅了しつつもどこか一線を引いていた一福の過去が明らかになる。アヤメの魔法によって明かされた一福の過去は想像以上に重いもので厳しく言ってしまえば逃げているのだけれど、アヤメがガツンとぶつかって一福を目覚めさせてくれて良かった。「私が側にいると、約束します」はプロポーズでいいと思うよ。
それに比べて闇に呑まれて暴走してしまったラッカ、出自が明らかになり闇堕ちしそうなクランエが心配です。自分の問題と向き合うことができた一福がどんな落語で異世界を救うのか楽しみです。

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (★★★★☆)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)
◼あらすじ
片田舎に暮らす少年・江都日向は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる―。抱えていた秘密が解かれるとき二人が選ぶ『正解』とは?

◼感想
身体が金塊に変わる致死の病を患う少女と劣悪な家庭環境に苛まれる少年の切ないラブストーリー。劣悪な家庭環境だけではなく恋をした少女は難病という中学生の少年が背負うにはあまりにも重くてずっとエトを応援していた。無気力なようでいて弥子と出会う時は年相応なエトが微笑ましい。友達の晴充がさりげない気遣いができる良い奴でした。
弥子がエトを選んだ理由はちゃんとはられていた伏線が回収されていて納得。三億円の行方はああいう形の方がエトのことを考えると良かったと思います。閉鎖された田舎から羽ばたくことを決めたエトの未来に幸あれ。