妹さえいればいい。 (12)(★★★★☆)

◼あらすじ
主人公になることを諦め、淡々と機械のように小説を書き続ける羽島伊月。一方、可児那由多は小説を書くことをやめ、部屋に引きこもってひたすらゲームに没頭するようになってしまう。そんな二人を、不破春斗や白川京はどうにか立ち直らせようとするのだが…。主人公達が立ち止まっている間にも、時間は容赦なく流れ、世界は絶えず動き続ける。大野アシュリーや木曽撫子、羽島家にも大きな出来事が訪れて―。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第12弾!!交錯する人間模様の行く先を、刮目して見届けよ!!

◼感想
シリーズ11冊目。立ち止まってしまった伊月と那由多が再び動き出す回、伊月の似非僧侶はともかく那由多のダメっぷりが最高潮でした。そんな彼女の様子を見て優しく接する京、しかし堕落した那由多に必要だったのは蚕みたいな厳しい一言だったわけで、きちんと復活した那由多が見れたのは嬉しかったです。蚕の株が急上昇しましたよ。
アシュリーさんおめでとうございます。千尋は刹那とのフラグがたってる…。一人の生命の誕生により羽島家が一つになり、その後に伊月と那由多がお互いの想いをぶつけ合う流れになったのが上手いなと思いました。終盤に向けて穏やかに完走してほしいです。

夜鳥夏彦の骨董喫茶2(★★★★★)

夜鳥夏彦の骨董喫茶2 (メゾン文庫)

夜鳥夏彦の骨董喫茶2 (メゾン文庫)

◼あらすじ
頼政にようやくできた友人(?)青崎玲。彼女から、急激に幸運に恵まれ始めた冠城里子のことを相談されるが…“花瓶”。夜鳥お気に入りの女性、冬海桐子の家にお泊まり!?“像”。寂れた山村で二人が挑む忌まわしき呪い“石のおはじき”。頼政の両親が亡くなる前のエピソード、優しい夢を見せる“蝋燭立て”。夜鳥の誕生日プレゼントに頼政が選んだ、『旅』へ誘う“懐中時計”―夜鳥&頼政の大人気アンティーク・オカルトミステリ、待望の第2巻登場!

◼感想
シリーズ2冊目。どの話もしんみりとした余韻があって、その中でも「負の螺旋を垣間見る」は衝撃的なラストでした。口減らしを理由に殺してしまった子供達の魂を慰める為の祭なのに、大人の身勝手な理由で負の連鎖がまだ続いているとは…。何も知らずに手伝っているあの人も気の毒だ。「火色の再会」は頼政の母が登場しますが、頼政を可愛く思ってたならきちんとそれを言葉にして向き合って欲しかったなと。
帯の「別離」が気になってましたが、最後の話で判明します。こういう世界もあるんだなと思うと切なくなるけど、夜鳥にとって頼政が大切なのは変わらない。せめて私が今まで見てきた2人にはずっと一緒にいてほしい。夜鳥が桐子さんになついてるのは桐子さんが頼政に似ているから、というのに萌えました。ぜひ続きも読みたいです。

絶対ナル孤独者5 ―液化者 The Liquidizer―(★★★★☆)

絶対ナル孤独者5 ―液化者 The Liquidizer― (電撃文庫)

絶対ナル孤独者5 ―液化者 The Liquidizer― (電撃文庫)

◼あらすじ
正体不明のルビーアイ“刺撃者”。同じルビーアイにさえ牙をむく最凶の敵と、ミノルたち“特課”、そして“組織”の三つ巴の戦いは、熾烈なものとなった。辛くも“刺撃者”を退け、組織のルビーアイ“凝結者”を捕獲したミノルだが、平穏な日常は未だ遠い。組織の重要人物、“液化者”が姿を現したのだ。「トランサーを救出したい。彼が殺されてしまう前に」彼女は“刺撃者”の情報と引き換えに、ミノルにある取引を持ちかける。ルビーアイ最強とも評される“液化者”と、“孤独者”ミノル、敵対する二人の共闘が始まる―!

◼感想
久しぶりのシリーズ5冊目。トランサーを助け出す為にミノル達に取引を持ち出す液化者、情報と引き換えに共闘することに。あくまで敵なので緊張感のある関係だけど今まで知らなかった液化者の人間らしい一面も見えてきて魅力的なキャラになってきているなと。彼女が味方だったら頼もしいことこの上ない。そしてスウ復活おめでとう!
液化者との取引によりルビーアイの本拠地も判明したので、オリヴィエの妹を助けに行くのかな?怪しい新キャラも登場してミノルを取り巻く環境はどんどん過酷になっていく。次はなるべく早く出るといいな。

絵に隠された記憶 熊沢アート心療所の謎解きカルテ(★★★★☆)

◼あらすじ
絵画療法の第一人者・熊沢が営む、熊沢アート心療所。カウンセラーを目指す院生・日向聡子は、インターンとしてやってきた。そこで出会ったのは飛行機恐怖症のサラリーマンや、ユニコーンの絵ばかり描く少女、認知症で帰宅できない老女…。さまざまな悩みを持つ人々の過去や本心を、熊沢は彼らが描いた絵から見抜いていく。しかし、聡子は自分自身の過去を探る過程で、熊沢に対してある疑念を抱き―。

◼感想
絵画療法の第一人者・熊沢が営む診療所でインターンとして手伝いをすることになった日向聡子が主人公。表紙の印象通りとても優しいお話でした。読んでいたら久しぶりに童心にかえってぬり絵がしたくなりました。患者の作品から色々なことを読み取れる熊沢先生が凄い、特にカヨさんの身元を特定した時とか。
そして幼少期の記憶があまりなく、自分の過去に不安を感じてしまう聡子。あの人がまさかね…と思っていたらやっぱり大丈夫でした、良かった。聡子の両親が過保護になっちゃうのも仕方ないか…。インターンは終了したけど聡子にはちょくちょく熊沢先生の手伝いをしてほしいな。

噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか?(★★★☆☆))

◼あらすじ
平凡な学園生活を送る高校生・鷹野祐。自らモブとして目立つことを避ける彼は、カースト上位陣すら近付けない、孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトに―なぜか、抱きしめられて!?注目を集める祐だったが、彼女自身は周りの視線なんてお構いなし!告白してきたイケメン生徒会長をもスルーして、全開の好意を向けてくる。学園一とまで言われる美少女と過ごすことで、充実した学園ライフを送る祐だったが―彼が自らモブとして過ごす原因となった過去と、彼女は何か関係があり!?モブが好感度MAXの美少女と送る、最高の学園ラブコメ!

◼感想
モブキャラの主人公が学園一の美少女から好感度MAXで好かれいる状況から話はスタート、多少違和感はありましたが最後に理由が提示されているので納得。最後は両想いになってますが、せっかく理乃や亜弥の他ヒロインも可愛かったのでもう少し焦れったい感じを続けて欲しかったなと。
IT関連はど素人なので飛び交う専門用語についていけませんでした。噛み砕いて説明しているところもありましたが、個人的には置いてきぼりになってました。第1話の犯人は理乃から離れるべきだと思うけどな…、私は幼馴染ヒロイン推しでした。

怪異探偵の喰加味さんは悪意しか食べない (★★★★☆)

◼あらすじ
「なんてこった!」騙されやすい大学生・白浜優は愕然としていた。上京早々、飄々とした探偵・喰加味に騙され、助手となったのだ。急須とティーカップで牛乳を飲み、やたら寒がりで、何より人を「餌」と呼ぶ。風変わりな喰加味は、実は妖怪・獏。「僕はグルメなんだ」と誇らしそうな彼は、依頼人を餌としていたのだ。ある理由で妖怪に疑心を抱いていた優。舞い込む事件は噛み合わない二人が揃うと、何故か面倒な事ばかり引き寄せてしまい―!?詐欺師のような怪異探偵と、正直すぎる青年の怪奇事件簿!

◼感想
人の感情を食べる妖怪・貘である喰加味と騙されやすいお人好しな大学生・優が怪奇事件を解決していく。メイン2人のコンビっぷりが好みでした。喰加味の友人である余丁によって2人の仲が試された第4章では、人間は餌でしかなかった喰加味が「人間は餌になるばかりじゃない。こうやって信じ、託すことだってできるんだ」といった場面が印象的でした。喰加味の変化に気付いた優も凄い。
悪意が大好きな喰加味が選んだ事件なだけあって後味が悪いものが多かったなと。第2章のかまいたちはその後が幸せそうで一安心。優の母親がついた嘘は優の心を守るための優しい嘘だなと思いました。

今昔百鬼拾遺 鬼(★★★★☆)

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

◼あらすじ
「先祖代代、片倉家の女は殺される定めだとか。しかも、斬り殺されるんだと云う話でした」昭和29年3月、駒澤野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。

◼感想
京極の妹・敦子は世間を騒がせている辻斬り事件の件で被害者の友人である呉美由紀から相談を受ける。被害者・片倉ハルの自らの死を予見するような不審な発言・片倉家に纏わる因縁などの伏線が登場していき、物語は始終不穏な雰囲気でした。辻斬りの正体は確かに「夢見がち」だったのかもしれない、練習台みたいにされた被害者が無念。
美由紀の最後の演説にはスカッとしました、正に憑き物落としのようでした。敦子の「探偵さんの影響が濃い気がした」発言にはクスリと笑えた。美由紀にはまた登場してほしいです。