閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎 (★★★★☆)

◼あらすじ
空から彼女が落ちてくる。受け止めようとして―俺は死んだ。イケメンで名を馳せる大地は、イジメを受ける少女・神里に初めての恋をし、振られた。しかし彼はくじけない。イジメの原因を調べるうちに、学校の屋上から神里が落ちてきて―。俺の死はともかく、彼女の死は絶対に許せない!覚悟を決めた大地は蘇りをかけて、閻魔大王の娘・沙羅と霊界の推理ゲームに挑む!

◼感想
シリーズ5冊目。いつも通りのクオリティで満足。1話目は怪我を理由に引退したバドミントン選手が主人公、お父さんが厳しいけど優しい人…。自分の能力に甘えていた夏帆が父からのメッセージを受け取って再び歩み出す展開にジーンときました。2話目は初恋の少女を助けようとして死んでしまった少年、甘ったれな部分はありつつも好きな人の為には全力を尽くした大地を素直に尊敬する。鳴海にも早く立ち直ってほしい。
3話目だけ毛色が違いましたね、自業自得だけどああいう展開でくるとは…。犯人扱いされて動揺してしまったのは分かるけどせめて救助を頼めばあんなことにはならなかっただろうに。

ヘルハウンド2 犯罪者プロファイラー・犬飼秀樹(★★★★☆)

◼あらすじ
行動心理分析特別捜査権利法―通称“特権法”に登録された民間人プロファイラー、犬飼。悪魔的手法で難解事件の真相を暴いていく彼の目の前で、殺人事件が起こった。容疑者として逮捕されたのは、彼のアメリカ滞在時代の親友。凄惨な現場に残された『J』の文字、次々と起こる連続刑事殺し…混迷を極める事件は次第に、犬飼の隠された過去へと繋がっていき―。なぜ犬飼は“黒妖犬”と呼ばれるプロファイラーになったのか。衝撃の犯罪心理サスペンス、第二巻!

◼感想
シリーズ2冊目。犬飼のアメリカ滞在時の親友が連続殺人犯として追われることに、犬飼の過去に迫りながら事件を追っていく。いやー浅倉が見事にムカついたので最後に諭吉がガツンとやってくれてスカッとした。瀕死寸前なのに犬飼を安心させる為に声をかけてたことといい諭吉はどんどん逞しくなっていくのかな。逆に諭吉不在の犬飼が心配でした。
最初の通り魔事件はやりきれないというか陰湿だなと、諭吉の優しさに少しでも彼女が救われたなら良かった。Jの事件は叶わなかった恋とほろ苦い友情の結末といったところでしょうか、犬飼にとっては苦しい結末ですが諭吉がいるなら大丈夫でしょう。

放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち(★★☆☆☆)

放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち (集英社オレンジ文庫)

放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち (集英社オレンジ文庫)

◼あらすじ
空腹に耐えかね貧乏大学生の家木は、大切にしていたブックカバーを質屋に持ち込んだ。現れたのは一癖も二癖もありそうな若き店主・湯布院。この店では査定評価を「品物にまつわる思い出」でするという。はじまりは、高額査定が欲しくて思わずついた嘘…?家木と湯布院=正反対コンビな二人が、個性的な客人の忘れられない過去を解き明かす、思い出ミステリー!

◼感想
貧乏大学生・家木と作家を目指す質屋の若き店主・湯布院のコンビが客が持ち込む思い出の品の謎を解き明かしていく。小説の為のネタ探しとして店をやってる、とか金持ちの話にはついていけない。通常の質屋とは違いすぎてあまり話に馴染めませんでした。
1話目の大和田さんのコースターに纏わるお話が一番好きでした。こういう不器用な御主人だと奥さんも大変だ、言葉にしてほしいけどそれだけ信頼されていた証であり素敵な結末でした。第2話は瞳の婚約者・中目黒に苛ついた、巻き込まれた盲導犬がいい迷惑だよ。なんだかんだいって家木はこれからも湯布院の我儘に付き合っていくんだろうな。

流星の下で、君は二度死ぬ(★★★★☆)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

◼あらすじ
父を火事で亡くした心的外傷から、身近な人が亡くなる数日前に、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまったみちるは、誰にも言い出せず怯え、悩み、鬱ぎ込んでいた。そんな彼女に救いの手を差しのべてくれたのは従兄の一美兄ちゃんだった。「予知夢なんて、信じるの?」「信じるよ。今度、予知夢を見たら教えて。一緒に予知を覆そう」そして高校生になった彼女は、ある晩、再び予知夢を見る。流星の降る校舎屋上、血濡れた刃、最後に見えたのは……一美兄ちゃん!? 助けたい――今度こそ。後悔と痛みを乗り越え前を向く、学園青春ミステリ。

◼感想
身近な人が亡くなる数日前に亡くなる瞬間を予知夢でみることが出来る少女・みちるが主人公。みちると一美をみていて自分のことを信じてくれる相手がいるのはとても大切なことだと思った。二人の関係性が好きです、みちるが阻止しましたがなんで一美はあんなことをしようとしたんだ…?
犯人は意外でした、しかし庇われた当の本人があんな状態ではね…。渡辺は誰かを救うことで自分も救われたかったのかな、それがもし恋情故の行動だったとしても犯人が殺していいはずなどない。ほろ苦い結末ながらも、みちるが自分の能力ときちんと向き合っている前向きなラストに救われました。

路地裏に怪物はもういない(★★★★☆)

路地裏に怪物はもういない (ガガガ文庫)

路地裏に怪物はもういない (ガガガ文庫)

◼あらすじ
誰もが簡単に未知を暴ける時代。路地裏の暗闇は駆逐され、幻想の余地はなくなり、怪異は姿を消して久しい。そんな現代社会で起きる不可思議な現象―乖異。己が空想こそが真の現実だと主張し、世界すら塗り換えようとする超常の力。乖異に導かれ集ったのは三人。絶えた怪異を殺す少女、空想を終わらせる男、そして世界に残された最後の怪異である少年。「死者のいない」猟奇事件に端を発した一連の流れに「真祖の吸血鬼」の存在を見いだした彼らは、それぞれの理由を胸に乖異と関わっていく。平成最後の夏、最後の幻想がはじまる。

◼感想
「平成最後を締めくくる新伝奇」という帯につられて購入。シリアスな雰囲気もありつつ、優しい余韻が残る物語でした。「乖離」という現象は一言でいうなら現実逃避みたいなものなのでしょうか、「真祖の吸血鬼」も歪んだ弱さを抱えていたからこういう悲しい結果になってしまったのか…。桜子さんの潔さが格好良かった…!
幽の今後が心配でした、ラストは大丈夫ということでいいんだよね…?感情表現が希薄な椿姫と素直でぐいぐいいく幽のコンビはバランスがとれていて好きでした。そしてエリザや沙耶が前へ進んでいると分かって一安心、エリザのツンデレ具合が可愛かったです。

平成から令和へ

今日で平成も終わりですね。だからといって何をするわけでもなく、10連休中3日間はずっと近場ですが出掛けていたので4日目は家でまったり読書をしていました。いや本当は平成最後の日なのでショッピングでもしようかなと思ったんですが、生憎の雨で断念しました。お家大好きの私には読書三昧の方が似合ってるな~と思うことにしました。
社会人になってからは仕事で辛いことが一時期沢山あり、何度も辞めようと思いました。その度に大好きな読書や食事という行為によって癒されて立ち直ることが出来ました。たくさんの面白い本をかいてくださる作者様に感謝、そしてそういった本を知るきっかけの一つを作ってくださった感想ブログサイト様に感謝です。これからも「気まぐれ読書手帖」をよろしくお願い致します。
写真は少し前に鎌倉に行った時のものです、御茶美味しかったです。

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平安あかしあやかし陰陽師 二 百鬼夜行の都に桜舞う (★★★★☆)

◼あらすじ
平安陰陽師たちが畏れる男、賀茂光栄。年齢不詳の美青年であり、安倍晴明の師でもある。幼なじみの歌人・藤原為頼や晴明とともに、ひとたびは宮廷を覆う菅原道真の怨霊を鎮めてみせた。日常を取り戻したかに見えた都。しかし、平穏は“式部”と名乗る美女の訪問をきっかけに破られる。彼女は怨霊退治に一役買った為頼に、ある亡霊の相談に来たという。その背景には都をさすらう法師陰陽師の存在が見え隠れし…?歴史に隠れた安倍晴明の師匠、光栄が、宮廷最大の危機に挑む平安秘伝第2幕、これより開宴―!

◼感想
シリーズ2冊目。相変わらず為頼の光栄への賛美にほのぼのとする、意図的ではなく無意識に言ってるから厄介だよね(笑)新キャラの蘆屋道満は光栄の弟子で変化の達人という斬新な設定。清明とのライバル関係も見所だが、為頼を救うために決死の覚悟で泰山府君祭を行う道満の優しさが魅力的だった。
大巫女様の話は少し切ない余韻のお話だった。最期に光栄に出会えて良かったものの大巫女様は光栄の本当の◼◼ってことだよね…。菅原道真の件は一件落着ですが、ぜひ続きが読みたいです。